レタッチャーになりたいんですけど、やっぱり高いパソコンを買わないとダメですか?5万円くらいのノートPCでもPhotoshopって動きます?
うん、動くには動くけど──。実は、「動く」と「快適に作業できる」は全く別の話なんです。
なぜPCスペックが重要なのか
レタッチの作業は見た目以上にPCへの負荷が高く、CPU・メモリ・ストレージ・GPUの性能が直接作業スピードに影響します。
肌補正や色調整などの軽い作業でも、レイヤーやマスクを重ねるごとにファイルは肥大化し、1枚あたりの容量が300MB〜1GBに達することもあります。
スペックが不足していると「保存が遅い」「ブラシが引っかかる」「ファンがうるさい」「最悪フリーズする」といったトラブルが頻発します。
たとえば、5万円のPCでもPhotoshopは起動します。ただ、「開ける」と「仕事に使える」は違うんですよ。納期がある以上、スピード=信用です。
つまり、高いPCは単なる"快適さ"のためではなく、「より多くの案件を、より高い品質で処理するための投資」なんです。
レタッチに必要なPCスペックの目安
CPU(処理速度)
レタッチの心臓部分です。CPUが遅いと、ブラシやフィルターの反応がワンテンポ遅れるようになります。
| 用途 | おすすめCPU目安 |
|---|---|
| 入門・練習用 | Intel Core i5 / AMD Ryzen 5(第10世代以降) |
| 商用・副業レベル | Intel Core i7 / AMD Ryzen 7(第11世代以降) |
| プロ・案件多数 | Intel Core i9 / AMD Ryzen 9(第12世代以降) |
メモリ(RAM)
Photoshopで作業するうえで最も体感に直結するのがメモリ。特にレイヤー数が多いレタッチでは、メモリ容量が足りないと即フリーズします。
| 作業規模 | 推奨メモリ容量 | 備考 |
|---|---|---|
| 練習・軽い修正 | 8GB | 起動は可、実用は厳しい |
| 商用・ポートレート中心 | 16GB | 最低限スムーズ |
| 広告・大量レイヤー・RAW作業 | 32GB以上 | 快適な処理速度 |
メモリは"作業机の広さ"みたいなものです。机が狭いと道具を出すたびに片付けが必要になる、そんなイメージですね。
GPU(グラフィック性能)
AIノイズ除去や「生成塗りつぶし」などの新機能を快適に使うには、GPUの性能が欠かせません。
| 作業内容 | おすすめGPU目安 |
|---|---|
| 基本補正・練習 | 内蔵GPU(Intel Irisなど) |
| AI補正・RAW現像 | NVIDIA GTX 1660〜RTX 3060 |
| 広告・大量データ処理 | RTX 3070〜4080クラス |
MacとWindows、どっちがレタッチに向いている?
CPUとかGPUとかメモリとか…もう専門用語だらけで全然わからなくて。ATXとかRTXとか、結局どれがいいのかサッパリなんですよね。
それ、すごく分かります。Windowsだとパーツの組み合わせが多すぎて、「どの構成が正解か」迷子になりがちなんですよ。
でもMacならすごくシンプルです。ほぼモデル(MacBook ProとかMac Studio)とチップ(M3・M4など)を選ぶだけ。細かいパーツ構成を考える必要がないんですよ。だから迷ったら、Macを選んでおくのが一番安心です。
なぜMacをおすすめするのか
Macは、写真やデザイン業界で長年使われている定番の環境です。
- Adobe製品(Photoshop / Lightroom)との親和性が高い
- 画面の色再現性が正確で、カラーマネジメントが安定
- 動作が安定していてフリーズが少ない
- ファンの音が静かで長時間の作業に向いている
- ブルースクリーンなどのエラーがほとんどない
僕自身もMacを使っています。理由はシンプルで、何も考えずに"すぐ仕事ができる環境"だからです。
Mシリーズの進化がすごい
Apple独自の「Mシリーズ」チップは、ここ数年で劇的に性能が向上しています。特に最新のM4 Maxは、ノートPCの形をした"デスクトップ級"のマシン。
| タイプ | おすすめ用途 | 特徴 |
|---|---|---|
| MacBook Air(M3) | 練習・副業 | 軽いレタッチや出先作業に最適 |
| MacBook Pro(M4 Max) | 本格レタッチ・広告案件 | ハイスペック。デスクトップ級性能 |
| Mac Studio | オフィス常設・大規模制作 | 静音&高性能。拡張性も高い |
Windowsを選ぶなら
- コスパを重視したい
- 自分でパーツを組みたい・拡張したい
- ゲーミングPCを兼用したい
Windowsは価格を抑えやすく、パーツの自由度が高いのが魅力です。ただし、GPUやCPUの相性、ドライバの更新など、ある程度PCの知識が必要になります。
作業内容によって変わるスペックの目安
| 作業内容 | 必要スペック目安 |
|---|---|
| SNS・簡単な色補正 | CPU:M2 / i5以上、メモリ:8〜16GB、SSD:512GB〜 |
| 商品・ECレタッチ | CPU:M3 / i7以上、メモリ:16〜32GB、SSD:1TB〜 |
| 広告・雑誌・人物レタッチ(商用) | CPU:M4 Max / i9以上、メモリ:64GB以上、SSD:2TB以上 |
うわ、広告レベルになると結構ハイスペックですね…。でもこれ、何が重くしてるんですか?
主な原因は、RAWデータの大きさとレイヤーの重なりですね。1枚500MBを超えるファイルを複数開いて作業すると、メモリをあっという間に使い切ってしまうんです。
ストレージはHDDではなくSSD一択です。外付けSSDを併用するのも便利ですが、物理的な接続の分だけ転送速度は落ちます。できれば内蔵SSDの容量を多めに確保しておくと快適です。
実際にどれくらいの予算でPCを組むべきか?
| レベル | 主な用途 | 価格帯(目安) |
|---|---|---|
| 入門クラス | SNS投稿・簡単な補正 | 10万〜15万円前後 |
| 中級クラス | 商品・ポートレート・軽い広告 | 20万〜35万円前後 |
| プロフェッショナルクラス | 広告・雑誌・商用レタッチ | 50万〜70万円以上 |
70万円って…もう軽自動車買えるじゃないですか(笑)
たしかに高額ですが、それだけの価値があります。レタッチの仕事は「速さ=生産性」です。処理速度が上がれば作業効率も収益も上がり、結果的に元が取れるケースも多いです。
まとめ
スペックを考えるより、「作業が止まらない安心感」を買う。それがレタッチ用PC選びの一番のコツですね。
- 5万円のPCでもPhotoshopは動くが、仕事には不向き
- レタッチには最低16GB以上のメモリを推奨
- 迷ったらMacを選ぶのが一番シンプル
- 作業量に合わせて段階的にスペックアップするのが現実的
PCは「道具」ではなく「相棒」です。安定して動作し、作業を止めない環境こそがプロの仕事を支えます。