Lightroom Classic 14.4がリリースされました。
今回の目玉は「Distraction Removal(気になる箇所の削除)」機能。ガラスの反射や背景に写り込んだ人物など、写真の邪魔な要素をAIが自動で検出・除去してくれます。
地味な名前ですが、実際に使ってみると「これを待っていた」と思える機能でした。

アップデート概要
バージョン情報
| 製品 | バージョン |
|---|---|
| Lightroom Classic | 14.4 |
| Lightroom Desktop | 8.4 |
| リリース日 | 2025年6月17日 |
主な新機能
- Distraction Removal(気になる箇所の削除)
- 富士フイルムカメラのテザーサポート
- AI編集ステータス機能
- 強化オプションの統合
Distraction Removal(気になる箇所の削除)
何ができるのか
写真内の邪魔な要素を、AIが自動検出して除去する機能です。
対応する要素:
- ガラス・窓の反射
- 背景の通行人
- 電線・ケーブル
- その他の不要オブジェクト
使い方
- 現像モジュールで「削除」ツールを選択
- 「Distraction Removal」タブを開く
- 除去したい要素の種類を選択
- 「適用」をクリック
今までの「スポット修正」と何が違うんですか?
スポット修正は手動で範囲を指定する必要がありましたが、Distraction RemovalはAIが自動で検出してくれます。ガラスの反射のように複雑な形状も、ワンクリックで処理できるのが大きな違いです。
反射除去を試してみた
ガラス越しに撮影した建築写真で試してみました。
結果:
- 自分の反射:きれいに除去
- カメラの反射:ほぼ除去(わずかに痕跡)
- 窓枠の反射:スライダーで調整可能
反射の強度をスライダーで調整できるのがポイント。完全に消すのではなく、「少しだけ残す」という調整も可能です。
人物除去を試してみた
観光地で撮影した風景写真で試してみました。
結果:
- 遠景の通行人:ほぼ完璧に除去
- 近景の人物:輪郭が残ることがある
- 複数人:個別に選択して除去可能
AIが人物を自動検出して、背景で自然に補完してくれます。
被写体に近い人物や、大きく写っている人物は、完全に除去できないことがあります。その場合は、Photoshopでの追加処理が必要です。

電線除去
以前から電線除去機能はありましたが、今回のアップデートでDistraction Removalに統合され、精度も向上しています。
複雑に交差する電線も、以前より自然に除去できるようになりました。
富士フイルムカメラのテザーサポート
新規対応
Lightroom ClassicがついにXの富士フイルムカメラのネイティブテザー撮影をサポートしました。
対応機種(一部):
- X-T5
- X-H2 / X-H2S
- GFX100S II
- など
テザー撮影のメリット
- 撮影しながらリアルタイムで確認
- クライアントと画面共有
- 即座に現像調整を確認
富士フイルムユーザーにとっては待望の機能ですね。これまでサードパーティのソフトを使っていた方も、Lightroomだけで完結できるようになりました。
AI編集ステータス
新機能の概要
DenoiseやSuper Resolutionなど、AIを使った処理の適用状況を一箇所で確認・管理できる機能です。
表示される情報
- 適用済みのAI処理一覧
- 各処理の設定値
- 更新が必要な処理の通知
活用方法
大量の写真を処理していると、「この写真にDenoise適用したっけ?」と迷うことがあります。AI編集ステータスを見れば、一目で確認できます。

強化オプションの統合
Detailパネルへの統合
これまで別メニューにあったAI処理機能が、Detailパネルに統合されました。
統合された機能:
- Denoise(ノイズ除去)
- Raw Details(RAW詳細)
- Super Resolution(超解像)
使いやすさの向上
現像の流れの中で、自然にAI処理を適用できるようになりました。
以前は「写真」メニューから選択する必要がありましたが、今はDetailパネルから直接アクセスできます。
Denoise、Raw Details、Super Resolutionは処理に時間がかかります。特にSuper Resolutionは数十秒〜数分かかることがあるので、バッチ処理がおすすめです。
その他の改善
パフォーマンス最適化
- カタログのスクロール速度向上
- プレビュー生成の効率化
- メモリ使用量の最適化
バグ修正
- 特定のRAWファイルでの表示問題
- マスク編集時の動作不具合
- 書き出し時のエラー修正
アップデートすべきか
おすすめの人
- 建築・インテリア写真を撮る人
- 観光地での撮影が多い人
- ガラス越しの撮影が多い人
- 富士フイルムユーザー
様子見でいい人
- 現在のワークフローで問題ない人
- 不要物除去をほとんど使わない人
- 安定性を最優先する人
Photoshopでも不要物除去はできますよね?
はい、でもLightroomで完結できると効率が全然違います。数十枚の写真を処理する場合、いちいちPhotoshopに渡していたら時間がかかりすぎます。
まとめ
Lightroom Classic 14.4は、Distraction Removalによる不要物除去の自動化が目玉のアップデートです。
良い点:
- ガラスの反射を自動検出・除去
- 背景の人物を自動検出・除去
- 富士フイルムのテザー対応
- AI処理の一元管理
改善の余地:
- 大きな対象物の除去精度
- 複雑な背景での補完品質
風景写真や建築写真を撮る方には、非常に価値のあるアップデートです。Lightroomだけで現像を完結させたい方は、ぜひ試してみてください。