RI
RETOUCH INFO レタッチのすべて|業界人のための情報メディア
Lightroom Classic 15.0大型アップデート|AIカリング、ダスト除去、オートスタッキングを試す
ツール・テクニック

Lightroom Classic 15.0大型アップデート|AIカリング、ダスト除去、オートスタッキングを試す

Lightroom Classic 15.0がリリース。AIによる自動セレクト「アシステッドカリング」、センサーダストの自動除去、類似写真の自動グループ化など、ワークフローを変える機能が満載です。

Lightroom Classic 15.0がリリースされました。

今回はメジャーバージョンアップ。AIを活用した新機能が複数追加され、特に「写真を選ぶ」作業が大幅に効率化されます。

撮影後の写真整理に時間をかけている方には、待望のアップデートです。

風景写真

アップデート概要

バージョン情報

製品 バージョン
Lightroom Classic 15.0
Lightroom Desktop 9.0
Lightroom Mobile 11.0
リリース日 2025年10月28日

主な新機能

  • アシステッドカリング(Assisted Culling)
  • ダスト除去(Dust Removal)
  • オートスタッキング(Auto Stacking)
  • Color Varianceスライダー
  • ACRサイドカーファイル
  • Leicaテザーサポート

アシステッドカリング

写真選びをAIが支援

AIが写真を分析して、ベストショットを自動で選んでくれる機能です。

何百枚も撮影した中から「使える写真」を選ぶ作業——これがカリング。今まで手作業で1枚ずつ確認していた作業を、AIが支援してくれます。

動作の仕組み

  1. 写真をインポート
  2. AIが各写真を分析
  3. 低品質な写真を自動で却下(Reject)
  4. 良い写真に軽微な編集を自動適用

分析される項目

  • ピント(シャープネス)
  • 露出
  • 構図
  • 目の開き(人物写真)
  • 類似写真のグループ化
読者
読者

勝手に写真を消されたりしませんよね?

レタッチャー
レタッチャー

大丈夫です。却下(Reject)フラグが付くだけで、写真自体は消えません。最終的な判断は人間が行えます。

実際に試してみた

イベント撮影の500枚で試してみました。

結果:

  • ピンボケ写真:ほぼ正確に検出
  • 露出ミス:適切に検出
  • 目つぶり:90%程度の精度
  • 処理時間:約5分(初回分析)

手作業なら1時間以上かかるセレクトが、10分程度で終わりました

もちろんAIの判断が完璧ではないので、最終確認は必要です。でも「明らかなNG写真」を先に除外してくれるだけで、作業効率が全然違います。

Early Access機能

アシステッドカリングは現在Early Access(早期アクセス)として提供されています。正式版に向けて改善が続けられる予定です。

美しい景色

ダスト除去

センサーダストを自動検出

カメラのセンサーに付着したゴミ(ダスト)を、AIが自動検出して除去してくれる機能です。

使い方

  1. 現像モジュールの「削除」ツールを選択
  2. 「Distraction Removal」内の「Dust」を選択
  3. 「適用」をクリック

実際の効果

青空の写真で試してみました。

結果:

  • 目立つダスト:ほぼ完璧に検出
  • 小さなダスト:約80%を検出
  • 処理時間:数秒

今まで「一箇所ずつスポット修正」していた作業が、ワンクリックで完了します。

レタッチャー
レタッチャー

風景写真家には神機能です。空にダストが写り込んでいると、1枚ずつ消していく作業が本当に面倒だったので。

注意点

ダスト検出の限界

複雑な背景(建物、木など)に重なっているダストは、検出されないことがあります。その場合は従来通り手動での修正が必要です。

オートスタッキング

類似写真を自動グループ化

連続撮影した類似写真を、AIが自動でグループ化(スタック)してくれます。

2つのモード

モード 基準 用途
時間間隔 撮影時間 連写した写真
視覚的類似性 画像の内容 同じシーンの別カット

使い方

  1. ライブラリモジュールで写真を選択
  2. 「写真」→「スタック」→「自動スタック」
  3. モードと感度を選択
  4. 「スタック」をクリック

活用シーン

  • 連写で撮影した写真の整理
  • 同じ構図の別露出をグループ化
  • イベント写真の整理

風景

Color Varianceスライダー

Point Colorの新機能

Point ColorパネルにVarianceスライダーが追加されました。

特定の色の「許容範囲」を調整できる機能です。

具体的な使い方

例えば「空の青だけを調整したい」場合:

  1. Point Colorで空の青をサンプリング
  2. Varianceスライダーで範囲を調整
  3. 明るい青から濃い青まで、まとめて調整

効果

これまでは「この青だけ」という指定しかできませんでしたが、Varianceを上げることで「青系全体」をまとめて調整できます。

グラデーションのある空や、微妙に色が変化する被写体で特に効果的です。

ACRサイドカーファイル

XMPファイルの肥大化問題を解決

AIマスク、Denoise、Super Resolutionなどの大きなデータを、別ファイル(*.acr)に分離して保存するようになりました。

メリット

  • XMPファイルが小さくなる
  • 同期やバックアップが高速に
  • クラウドストレージの容量節約

注意点

互換性について

ACRサイドカーファイルは、Lightroom Classic 15.0以降でのみ読み込めます。古いバージョンのLightroomや他のソフトでは、AI処理の結果が反映されない可能性があります。

Leicaテザーサポート

新規対応

Lightroom ClassicがLeicaカメラのテザー撮影をサポートしました。

対応機種(一部):

  • Leica SL3
  • Leica Q3
  • など

富士フイルムに続き、Leicaユーザーにも嬉しいアップデートです。

アップデートすべきか

強くおすすめする人

  • 大量の写真を撮影する人
  • セレクト作業に時間をかけている人
  • センサーダストに悩まされている人
  • Leicaユーザー

様子見でいい人

  • 撮影枚数が少ない人
  • 現在のワークフローで満足している人
  • メジャーアップデート直後の安定性が心配な人
読者
読者

Early Access機能は使って大丈夫ですか?

レタッチャー
レタッチャー

個人的な作業なら問題ないと思います。ただ、商業案件では念のため従来の方法と併用することをおすすめします。

まとめ

Lightroom Classic 15.0は、AIによるワークフロー効率化に焦点を当てたメジャーアップデートです。

注目の新機能:

  • アシステッドカリング:写真選びをAIが支援
  • ダスト除去:センサーゴミを自動検出・除去
  • オートスタッキング:類似写真を自動グループ化
  • Color Variance:色調整の範囲をコントロール

特にアシステッドカリングは、撮影後のワークフローを大きく変える可能性を秘めています。大量の写真を扱う方は、ぜひ試してみてください。

人物レタッチのプロにお任せください