2月20日、AdobeがLightroom Classic 15.2(およびLightroom Desktop 9.2、Lightroom Mobile 11.2)をリリースしました。
今回のアップデートは派手な新機能こそ少ないものの、AIカリングのグループポートレート対応改善やWebPサポートなど、日常のワークフローに直結する改善が中心です。
レタッチャー・フォトグラファー視点で、押さえておくべきポイントを解説します。
AIカリング(Assisted Culling)の改善
グループポートレートの選別精度が向上
Lightroom Classic 15.1で導入されたAIカリング(AI支援による写真の自動選別)機能が、今回のアップデートでさらに強化されました。
具体的には、被写体選択(Subject Selection)とアイフォーカス(Eye Focus)のAIモデルがアップデートされ、グループポートレートでの判定精度が向上しています。
具体的に何が変わるんですか?
これまでのAIカリングは、1人のポートレートでは精度が高かったものの、集合写真になると「誰にピントが合っているか」の判定がブレることがありました。今回のアップデートで、複数人の目のピント状態をより正確に評価できるようになっています。ウェディングやイベント撮影のカリングが楽になりますね。
AIカリングは、撮影した大量の写真からAIが「技術的に良い写真」を自動選別する機能です。ピント精度、露出、被写体の表情、ブレの有無などを総合的に判断し、★評価やフラグを自動付与します。Lightroom Classic 15.1で追加された比較的新しい機能です。
WebPファイルのサポート
読み込み・編集・同期が可能に
Lightroom ClassicがWebPファイルの読み込み、編集、同期に対応しました。
| 操作 | 対応状況 |
|---|---|
| WebP読み込み | ◎ 対応 |
| WebP編集 | ◎ 対応 |
| WebP同期 | ◎ 対応 |
| WebPへの書き出し | × 非対応 |
| WebPから他形式への書き出し | ◎ 対応 |
WebPって、レタッチワークフローで使いますか?
直接のレタッチではあまり使いませんが、Web制作と連携する場合には重要です。WebサイトからダウンロードしたWebP画像を編集したい場面や、クライアントからWebP形式で素材が来るケースが増えています。ただし、書き出しはWebP形式に対応していない(JPEGやTIFF等への変換のみ)ので、その点は注意してください。
Adobe Firefly連携
Lightroomから直接Firefly編集へ
今回の目玉機能のひとつがAdobe Firefly連携です。
Lightroom ClassicからはFile(ファイル)メニュー、Lightroom DesktopからはShare(共有)メニューに「Generate using Firefly」コマンドが追加されました。これを選択すると、現在の写真がFireflyに送られ、プロンプトベースのAI編集が可能になります。
できること
- テキストプロンプトで写真を編集(背景変更、オブジェクト追加・削除など)
- 静止画からショート動画クリップを生成
- 複数のAIモデルから選択可能
Lightroomの既存のAI削除ツールとは何が違うんですか?
Lightroomの「削除」ツールはローカル処理で、既存の画像情報をもとに不要物を消す機能です。一方、Firefly連携はサーバーベースの生成AIで、「ここに木を追加」「背景を夕焼けに変更」といったクリエイティブな生成が可能。ただしGenerative Credits(生成クレジット)を消費するので、無制限には使えません。
Firefly連携の各操作にはGenerative Creditsが必要です。クレジットの残量は、Preferences(環境設定)> Account > Monthly Generative Creditsで確認できます。プランによって月間の付与数が異なるので、使いすぎに注意してください。
Lightroom Desktop:Topaz Generative Upscale
Lightroom Desktop 9.2では、Topaz社のGenerative Upscaleにアクセスできるようになりました。
- Photo(写真)メニュー > Generative Upscaleから利用
- 2倍または4倍のアップスケールが可能
- 結果はスタックとして元画像と紐づけ可能
Topazの単体アプリと比べてどうですか?
Lightroom内で完結するのは便利ですが、カスタマイズの幅はTopaz単体アプリに劣ります。ノイズ除去の強度調整やシャープネスの細かい設定はできないので、こだわりたい場合はTopaz Photo AI単体を使うのがベターです。また、こちらもGenerative Creditsを消費します。
モバイル版の変更点
クロップ画面のリデザイン(iOS/Android)
Lightroom Mobile 11.2ではクロップ(切り抜き)画面が刷新されました。
- SNS用のアスペクト比(Instagram正方形、Storiesの9:16等)がポップアップで選択可能に
- ジオメトリ(水平・垂直補正)のUIも更新
- iOSの最低動作要件がiOS 18 / iPadOS 18に引き上げ
4K動画エクスポート
これまで1920×1080(HD)に制限されていた動画書き出しが、4K解像度に対応しました。
新しいカメラ・レンズサポート
新規対応カメラ
- OM Digital Solutions OM-3 Astro
- OPPO Find X8シリーズ(複数バリエーション)
- Ricoh GR IV Monochrome
新規レンズプロファイル
Canon RFレンズ、Leica Noctilux、Sigma、Sony、Viltroxの複数モデルが追加されています。
まとめ
- AIカリングのグループポートレート判定精度が向上。ウェディング・イベント撮影のワークフローが改善
- WebPファイルの読み込み・編集・同期に対応(書き出しは非対応)
- Adobe Firefly連携で生成AI編集がLightroom内から可能に(要Generative Credits)
- Lightroom DesktopにTopaz Generative Upscaleを統合(2倍/4倍)
- モバイル版はクロップUIの刷新と4K動画エクスポートに対応
- iOS 18 / iPadOS 18が最低動作要件に
※本記事はレタッチの教科書 by Retouch Ink が独自にまとめたものです。
よくある質問
AIカリングのグループポートレート対応改善、WebPファイルサポート、Adobe Firefly連携(生成AI編集)が主な新機能です。派手な新機能より、日常ワークフローの改善が中心のアップデートです。
読み込み・編集・同期には対応していますが、WebP形式での書き出しは非対応です。他形式(JPEG、TIFF等)への変換書き出しは可能です。
Firefly連携にはGenerative Creditsが必要です。月間のクレジット付与数はAdobe Creative Cloudのプラン次第で、環境設定のAccountから残量を確認できます。
はい、Lightroom Mobile 11.2からiOS 18 / iPadOS 18が最低動作要件に引き上げられました。古いiOSバージョンでは利用できなくなるため、アップデート前にOS確認が必要です。