「この写真もあの写真と同じ感じにしたい」——毎回同じ設定をイチから調整していませんか?
Lightroomの「プリセット」を使えば、お気に入りの設定をワンクリックで適用できます。
この記事では、自分だけのオリジナルプリセットの作り方から、管理方法、配布・販売まで詳しく解説します。

プリセットとは何か
プリセットって、フィルターみたいなものですか?
似ていますが、もっと自由度が高いです。露出、コントラスト、色味、トーンカーブなど、現像パネルの全設定を保存して、他の写真にワンクリックで適用できる機能です。
プリセットでできること
- 好みの現像設定を「名前をつけて保存」
- 他の写真にワンクリックで適用
- 複数のプリセットを使い分け
- 他の人と設定を共有
- 配布・販売も可能
プリセットのメリット
| メリット | 説明 |
|---|---|
| 時短 | 毎回の設定作業が不要 |
| 一貫性 | シリーズ写真のトーンを揃えやすい |
| 効率化 | 大量の写真処理が高速に |
| 共有 | チームで同じ設定を使える |
プリセットの作り方
オリジナルプリセットを作成する手順を解説します。
Step 1: 写真を現像する
まず、1枚の写真を理想の状態に仕上げます。
- 基本補正(露出、コントラスト、ハイライト、シャドウなど)
- トーンカーブ
- HSL/カラー
- 明暗別色補正
- その他の調整
「これが自分のスタイルだ」と思える仕上がりになるまで調整しましょう。
Step 2: プリセットとして保存
Lightroom Classic:
- 現像メニュー →「新規プリセット」
- または、プリセットパネルの「+」アイコンをクリック
Lightroom(クラウド版):
- プリセットパネルの「…」→「プリセットを作成」
Step 3: 保存する項目を選択
プリセット作成ダイアログで、保存する項目を選びます。
全部チェックしておけばいいんですか?
いえ、項目は慎重に選んでください。例えばホワイトバランスを含めると、撮影環境が違う写真には合わなくなります。色味やトーン系だけ保存して、露出やWBは除外するのがおすすめです。
保存する項目の選び方
含めることが多い項目:
除外することが多い項目:
- ホワイトバランス(撮影環境で変わる)
- 露光量(写真ごとに調整が必要)
- 部分補正(マスク)
- レンズ補正(レンズによって異なる)
- 切り抜き(構図は写真ごと)
Step 4: 名前とグループを設定
- プリセット名: 内容がわかる具体的な名前(例:「ポートレート_柔らか暖色」)
- グループ: 整理用のフォルダ(例:「自作プリセット」「ポートレート用」)

実用的なプリセットの作り方
ただ設定を保存するだけでなく、「使いやすいプリセット」を作るコツがあります。
コツ1: 汎用性を意識する
特定の写真に最適化しすぎると、他の写真に使えません。
悪い例: 逆光のポートレートに完璧に合わせたプリセット
→ 順光の写真には使えない
良い例: 色味とトーンだけを調整したプリセット
→ 露出は写真ごとに調整前提
コツ2: 用途別に複数作る
1つの万能プリセットより、用途別に複数作る方が実用的です。
| プリセット例 | 用途 |
|---|---|
| ポートレート_柔らか | 人物撮影・柔らかいトーン |
| ポートレート_シャープ | 人物撮影・コントラスト強め |
| 風景_鮮やか | 風景・彩度高め |
| 風景_フィルム調 | 風景・フィルムライク |
| 夜景_クール | 夜景・青みがかった雰囲気 |
コツ3: 強度違いのバリエーション
同じ方向性で、強度が違うバリエーションを作っておくと便利です。
- 「フィルム調_軽め」
- 「フィルム調_標準」
- 「フィルム調_強め」
コツ4: 部分プリセットの活用
全部の設定ではなく、特定の調整だけを保存したプリセットも便利です。
例:
- 「カラーグレーディング_暖色」(明暗別色補正のみ)
- 「トーンカーブ_Sカーブ」(トーンカーブのみ)
- 「粒子追加_軽め」(効果の粒子のみ)
これらを組み合わせて使えば、柔軟な調整が可能です。
プリセットは「完成」ではなく「出発点」として使うのがおすすめ。プリセットを適用した後、その写真に合わせて微調整する。この流れが最も効率的です。
プリセットの管理と整理
プリセットが増えてくると、管理が重要になります。
フォルダ(グループ)で分類
プリセットはグループで整理できます。
分類例:
- 自作プリセット
- ポートレート
- 風景
- 夜景
- ダウンロードしたプリセット
- ○○さんのプリセット
- △△パック
命名規則を決める
後から探しやすいように、命名規則を統一しましょう。
おすすめの命名規則:[用途]_[特徴]_[強度]
例:
Portrait_Soft_LightLandscape_Vivid_StandardNight_Cool_Strong
不要なプリセットを削除
使わないプリセットは削除するか、別グループにまとめて整理しましょう。
プリセットパネルで右クリック →「削除」または「名前を変更」

プリセットの書き出しと共有
作成したプリセットは、書き出して共有できます。
書き出し方法
Lightroom Classic:
- プリセットを右クリック
- 「書き出し」を選択
- 保存場所を指定
.xmpファイルとして保存される
Lightroom(クラウド版):
クラウド版では直接書き出せませんが、DNGファイルを使った方法で共有可能です。
プリセットファイルの形式
| 形式 | 説明 |
|---|---|
| .xmp | Camera Raw設定ファイル。LrC、Photoshop Camera Rawで使用可 |
| .lrtemplate | 旧形式。現在は.xmpが主流 |
| .dng | スマホ版での共有用 |
共有方法
- メールやファイル共有: .xmpファイルを直接送る
- クラウドストレージ: Dropbox、Google Driveなどで共有
- 販売: note、BOOTH、Gumroadなどで販売可能
自作プリセットの販売は、フォトグラファーの副収入として人気があります。独自の世界観を持ったプリセットなら、ファンが買ってくれることも。
プリセットの読み込み(インポート)
他の人が作ったプリセットを読み込む方法です。
Lightroom Classic
- プリセットパネルの「+」→「プリセットを読み込み」
.xmpまたは.lrtemplateファイルを選択- プリセットパネルに追加される
Lightroom(クラウド版)
- プリセットパネルの「…」→「プリセットを読み込み」
.xmpファイルを選択- クラウドに同期され、モバイル版でも使用可能
保存場所(参考)
プリセットファイルの保存場所:
- Mac:
/ライブラリ/Application Support/Adobe/CameraRaw/Settings - Windows:
C:\Users\[ユーザー名]\AppData\Roaming\Adobe\CameraRaw\Settings
PhotoshopのCamera Rawと連携
Lightroomのプリセット(.xmpファイル)は、PhotoshopのCamera Rawフィルターでも使えます。
使い方
- Photoshopで画像を開く
- フィルター →「Camera Rawフィルター」
- プリセットパネルを開く
- Lightroomと同じプリセットが表示される
同じプリセットをLightroomでもPhotoshopでも使えるので、ワークフローの一貫性が保てます。
おすすめの無料プリセット
自作する前に、無料プリセットを試してみるのもおすすめです。
入手先
- Adobe公式: Lightroomに標準搭載のプリセット
- フォトグラファーのブログ: 「Lightroom プリセット 無料」で検索
- 海外サイト: 「Free Lightroom Presets」で検索すると多数
無料プリセットの注意点
- 品質はまちまち。自分の写真に合うか試してから使う
- 商用利用の可否を確認
- そのまま使うより、参考にして自作するのがおすすめ
プリセットに限らず、Lightroom関連の情報は英語の方が圧倒的に多いです。「Lightroom presets」で検索すれば、高品質な無料・有料プリセットが多数見つかります。YouTubeの自動翻訳も活用しましょう。
まとめ
Lightroomのプリセットは、効率的なワークフローの要です。
プリセットの作り方:
- 1枚の写真を理想の状態に仕上げる
- プリセットとして保存
- 保存する項目を慎重に選択
- 名前とグループを設定
使いやすいプリセットのコツ:
- 汎用性を意識する(露出やWBは除外)
- 用途別に複数作る
- 強度違いのバリエーションを用意
- 部分プリセットも活用
プリセットは「完成」ではなく「出発点」として使うのがポイントです。
まずは1つ、自分だけのプリセットを作ってみてください。「自分のスタイル」が形になる感覚は、きっと楽しいはずです。