Photoshop 2025がリリースされました。
毎年恒例のメジャーアップデートですが、今回は生成AI機能の強化が目玉。Adobe Fireflyとの連携がさらに深まり、レタッチワークフローを大きく変える可能性を秘めています。
実際に数日間使い込んでみたので、レタッチャー視点でのレビューをお届けします。
Photoshop 2025の概要
バージョン情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| バージョン | 26.0 |
| リリース日 | 2024年10月15日 |
| 対応OS | Windows 10/11, macOS 12以降 |
| 必要メモリ | 16GB以上推奨 |
主な新機能
- 生成塗りつぶしの精度向上
- 削除ツールのAI強化
- 生成画像機能
- フレームツールの改善
- パフォーマンス向上
毎年アップデートがありますが、今回は入れた方がいいですか？
生成AI機能をよく使うなら、間違いなくアップデートすべきです。特に削除ツールの進化は、日常のレタッチ作業を確実に効率化してくれます。
生成塗りつぶしの精度向上
今回のアップデートで最も注目すべきは、生成塗りつぶし（Generative Fill）の精度向上です。
改善されたポイント
1. コンテキスト理解の向上
周囲の画像との整合性が大幅に改善されました。特に複雑な背景での生成結果が自然になり、後処理の手間が減っています。
2. 日本語プロンプト対応の改善
以前は英語プロンプトの方が精度が高かったのですが、日本語でも同等の結果が得られるようになりました。
3. 生成速度の向上
クラウド処理の最適化により、生成結果が表示されるまでの時間が短縮されています。
実際に使ってみた感想
商品撮影の背景拡張で試してみましたが、以前より明らかに自然な結果が得られました。
特に影の処理が改善されており、合成感が出にくくなっています。ただし、完璧ではないので最終的な微調整は必要です。
生成塗りつぶしはクラウド処理のため、インターネット接続が必須です。また、生成回数には月間の制限があります（プランによって異なる）。
削除ツールのAI強化
削除ツール（Remove Tool）も大幅に進化しました。
新機能：ワンクリック削除
選択範囲を作成してから削除するのではなく、不要なオブジェクトをブラシでなぞるだけで自動削除できるようになりました。
電線・ケーブルの自動検出
特に便利なのが、電線やケーブルの自動検出機能。風景写真から電線を除去する作業が劇的に楽になりました。
以前は電線を一本一本選択して消していましたが、今はブラシで大まかになぞるだけ。作業時間が半分以下になりました。
人物の自動検出・削除
背景に映り込んだ通行人も、自動検出して削除できます。観光地での撮影など、人が写り込みやすいシーンで威力を発揮します。
精度の評価
実際に使ってみると、単純な背景では非常に高い精度で削除できます。
ただし、複雑なパターンの背景や、削除対象が大きい場合は、まだ手動での修正が必要なケースがあります。
| シーン | 精度 | 備考 |
|---|---|---|
| 単純な背景 | ◎ | ほぼ一発で完了 |
| 複雑な背景 | ○ | 微調整が必要 |
| 大きな対象 | △ | 手動修正推奨 |
生成画像機能（Generate Image）
フレームツールと連携した新機能として、生成画像（Generate Image）が追加されました。
使い方
- フレームツールで領域を作成
- コンテキストタスクバーから「画像を生成」を選択
- プロンプトを入力して生成
活用シーン
- モックアップ用のプレースホルダー画像
- デザインカンプのダミー画像
- アイデア出しのラフ作成
レタッチ作業での使いどころ
正直なところ、純粋なレタッチ作業での出番は少ないかもしれません。
ただ、クライアントへのプレゼン用にイメージ画像を素早く作成したい場合には便利です。
パフォーマンス向上
起動速度の改善
Photoshop 2025では起動速度が改善されています。ただし、劇的な変化というよりは「少し速くなった」程度の印象です。
大容量ファイルの処理
レイヤーが多い大容量PSDファイルの処理速度が向上しています。特にスマートオブジェクトを多用するワークフローでは、体感できる改善があります。
GPU活用の強化
対応GPUを搭載している場合、AI機能の一部がローカル処理されるようになり、クラウド処理待ちの時間が短縮されています。
AI機能をフル活用するには、VRAM 8GB以上のGPUを推奨。4GB以下の場合はクラウド処理のみとなります。
その他の改善点
カラーマネジメント
HDRディスプレイ対応が強化され、より正確な色表示が可能になりました。
クラウド連携
Adobe Creative Cloudとの連携が強化され、設定やプリセットの同期がスムーズになりました。
バグ修正
- 特定の状況でのクラッシュ修正
- メモリリークの改善
- 一部ツールの動作安定性向上
アップデートすべきか？
おすすめの人
- 生成AI機能を積極的に使いたい人
- 不要物の除去作業が多い人
- 最新機能を試したい人
様子見でいい人
- 現在のワークフローで問題がない人
- プラグインの互換性が心配な人
- 安定性を最優先する人
プラグインの互換性は大丈夫ですか？
主要なプラグインは対応済みですが、マイナーなものは要確認です。心配なら、以前のバージョンも残しておけば安心です。
まとめ
Photoshop 2025は、生成AI機能の強化に焦点を当てたアップデートです。
良い点：
- 生成塗りつぶしの精度向上
- 削除ツールの大幅な進化
- パフォーマンス改善
改善の余地：
- 生成回数の制限
- 複雑なシーンでの精度
- オフライン作業への対応
レタッチャーにとって、特に削除ツールの進化は日常業務を効率化してくれます。不要物の除去作業が多い方は、アップデートの価値は十分にあるでしょう。
