Photoshop 26.9がリリースされ、ベータ版に注目の新機能が追加されました。
「調和(Harmonize)」と「生成アップスケール(Generative Upscale)」——どちらもレタッチャーにとって待望の機能です。
ベータ版なので正式版とは挙動が変わる可能性がありますが、現時点での使い勝手をレポートします。

アップデート概要
バージョン情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| バージョン | 26.9 |
| リリース日 | 2025年7月29日 |
| 注目機能 | 調和、生成アップスケール(共にベータ) |
主な新機能
- 調和(Harmonize):合成オブジェクトの光と色を自動調整
- 生成アップスケール:AIで画像を高解像度化
- その他バグ修正
調和(Harmonize)機能
何ができるのか
合成作業で最も面倒な「光の方向」と「色調の統一」を、AIが自動で調整してくれる機能です。
今までは手動でトーンカーブや色相・彩度を調整していた作業が、ワンクリックでできるようになります。
使い方
- 合成したいオブジェクトを配置
- コンテキストタスクバーから「調和」を選択
- AIが背景に合わせて自動調整
今までの「マッチカラー」とは何が違うんですか?
マッチカラーは色調だけでしたが、調和は光の方向や影も考慮します。より自然な合成結果が得られるのが大きな違いです。
実際に試してみた
商品画像を別の背景に合成するシーンで試してみました。
結果:
- 光の方向の調整:◎(かなり自然)
- 色調の統一:○(微調整が必要な場合あり)
- 影の処理:△(単純な影のみ)
光の方向の調整は驚くほど自然でした。商品の左から光が当たっている状態から、右からの光に変換されても違和感がありません。
ただし、複雑な影の処理はまだ難しいようで、透過影や反射光は手動での調整が必要です。

調和機能の活用シーン
向いている作業:
- 商品の背景差し替え
- 人物の背景合成
- 簡単なコラージュ制作
向いていない作業:
- 複雑な反射がある合成
- 極端に異なる光源の合成
- 精密な商業レタッチの最終工程
ベータ機能は予告なく変更・削除される可能性があります。商業案件での使用は、バックアップを取った上で慎重に。
生成アップスケール(Generative Upscale)
何ができるのか
低解像度の画像を、AIでディテールを補完しながら高解像度化する機能です。
Topaz Labsの技術が採用されており、従来のアップスケーリングとは一線を画す結果が得られます。
使い方
- 画像を開く
- 「イメージ」→「画像解像度」
- 「生成アップスケール」にチェック
- 希望のサイズを指定
従来のアップスケーリングとの違い
| 方式 | 特徴 | 結果 |
|---|---|---|
| バイキュービック | 補間計算 | ぼやける |
| ディティール保持 | エッジ強調 | シャープだが不自然 |
| 生成アップスケール | AI補完 | 新たなディテールを生成 |
実際に試してみた
500×500pxの画像を2000×2000px(4倍)に拡大してみました。
結果:
- 全体的な印象:非常に自然
- ディテールの再現:驚くほど良い
- 処理時間:約30秒(クラウド処理)
正直、期待以上でした。古いデジカメの写真や、クライアントから送られてきた低解像度素材の救済に使えそうです。
注意点
向いているケース:
- 自然風景の拡大
- ポートレートの拡大
- 一般的な写真全般
向いていないケース:
- テキストを含む画像(文字が崩れることがある)
- イラストや図版(意図しないディテールが追加される)
- 元画像が極端に低品質な場合

その他の改善点
スターツール
新しい図形ツール「スターツール」が追加されました。星形のシェイプを直接描画でき、頂点の数や半径も調整可能です。
デザイン作業には便利ですが、レタッチ作業での出番は限られそうです。
バグ修正
- 一部環境でのメモリリーク修正
- Apple Silicon Mac での安定性向上
- 特定のカラープロファイルでの表示問題修正
ベータ機能を有効にする方法
設定手順
- 「編集」→「環境設定」→「テクノロジープレビュー」
- 使用したい機能にチェック
- Photoshopを再起動
注意事項
ベータ機能は「環境設定」→「テクノロジープレビュー」から有効化できます。デフォルトではオフになっているので、手動で有効化が必要です。
アップデートすべきか
おすすめの人
- 合成作業が多い人
- 低解像度素材を扱う機会がある人
- 新機能を積極的に試したい人
様子見でいい人
- 安定性を最優先する人
- ベータ機能に興味がない人
- 現在のワークフローで困っていない人
ベータ機能を使わないなら、アップデートしなくていいですか?
バグ修正も含まれているので、アップデート自体は推奨です。ただ、ベータ機能を商業案件で使うかは慎重に判断してください。
まとめ
Photoshop 26.9は、調和と生成アップスケールという2つの注目機能をベータ版で搭載したアップデートです。
調和(Harmonize):
- 合成作業の効率化に貢献
- 光と色の調整がワンクリックに
- 複雑な合成には追加調整が必要
生成アップスケール:
- AIによる高品質な画像拡大
- Topaz Labs技術による自然な結果
- 低解像度素材の救済に有効
どちらもベータ版なので正式版での改善に期待しつつ、現時点でも十分実用的です。合成作業や素材の拡大で困っていた方は、ぜひ試してみてください。