2026年1月27日、Photoshop 27.3がリリースされました。
今回のアップデートの目玉は2つ。Clarity・Dehaze・Grainが調整レイヤーとして独立したことと、Firefly搭載の生成AI機能の出力解像度が2Kに引き上げられたことです。
「ClarityってCamera Rawでしか使えなかったよね?」という方、もうPhotoshop上でレイヤー単位で使えます。しかもマスク対応。実務のワークフローが変わる可能性を秘めたアップデートです。
Clarity&Dehaze調整レイヤー──Camera Rawに戻らなくていい時代
何が変わったのか
これまでClarityとDehazeは、Camera RawフィルターやLightroomでしか使えない機能でした。画像全体に適用するか、Camera Raw内でマスキングするしかなかった。
Photoshop 27.3では、Clarity&Dehazeが独立した調整レイヤーとして追加されました。
調整レイヤーになると、具体的に何が嬉しいんですか?
3つの大きなメリットがあります。非破壊編集(いつでも数値を変更・削除できる)、マスク対応(部分的に適用できる)、レイヤー順序の管理(他の調整レイヤーと組み合わせやすい)。たとえば人物の肌だけClarityを下げて、背景だけDehazeを上げる、といった処理がレイヤーパネルで完結します。
Clarityの使いどころ
Clarity(明瞭度)はミッドトーンのコントラストを調整する機能です。
| 操作 | 効果 | 用途 |
|---|---|---|
| Clarity +(プラス) | ミッドトーンのコントラスト強調 | 風景写真のディテール強調、建物のテクスチャ |
| Clarity −(マイナス) | ミッドトーンのコントラスト低減 | 肌の質感をソフトに、ドリーミーな表現 |
肌レタッチで「ソフトフォーカス」的な効果を出したいとき、Clarityをマイナスに設定して肌だけにマスクをかける使い方が非常に有効です。Camera Rawで画像全体に適用するより精密なコントロールが可能になりました。
Dehazeの使いどころ
Dehaze(かすみの除去)は大気のかすみや霧を補正する機能です。風景写真やドローン撮影での霞んだ画像を一発で改善できます。
調整レイヤーになったことで、たとえば「空だけDehazeを強くかけて、手前の被写体はそのまま」という処理がマスク1枚で実現できます。
なるほど、部分的にDehazeをかけられるのはかなり便利ですね!
Grain調整レイヤー──フィルム粒子をレイヤーで管理
非破壊でGrainを追加
Grain(粒子)もCamera Rawからしか追加できなかった機能ですが、27.3で調整レイヤーとして独立しました。
フィルム風の粒子感を出したいとき、これまではCamera Rawフィルターを適用するかノイズフィルターを使うしかありませんでした。調整レイヤーになったことで、強度の変更・削除がいつでも可能になっています。
Grainってノイズ追加フィルターと何が違うんですか?
Camera Raw由来のGrainは、フィルム粒子のシミュレーションに特化しています。単純なノイズ追加と違って、粒子のサイズやラフネスを自然にコントロールできるのが特徴です。調整レイヤーになったので、不透明度やマスクとの組み合わせもより柔軟になりました。
Grain調整レイヤーの粒子は、画像を拡大するとピクセル単位で確認できます。印刷用途で使う場合は、最終出力サイズでプレビューして粒子の強度を決めてください。モニター上で100%表示したときに適切に見える設定と、実際の印刷サイズで適切な設定は異なります。
生成AI機能が2K出力へ──Generative Fill・Expand・Remove Toolの画質向上
出力解像度が2Kに
Photoshop 27.3では、Firefly搭載のGenerative Fill、Generative Expand、Remove Toolの出力解像度が2Kに引き上げられました。
これまでの生成AI機能は、出力のディテールが甘く「AI感」が残ることがありました。2K解像度になったことで、シャープネスが向上し、アーティファクト(不自然な模様)が減少しています。
2Kって、具体的にはどれくらいの解像度ですか?
2K解像度はおよそ2048×2048ピクセル相当の生成品質です。以前のバージョンと比較すると、生成結果のシャープさが明らかに違います。特にGenerative Fillで人物の顔や文字を含む生成をしたとき、ディテールの崩れが大幅に減っています。
Remove Tool モデル3
Remove Tool(削除ツール)も新しいAIモデル「モデル3」に更新されました。不要な人物やオブジェクトの削除精度が向上し、背景の再構築がより自然になっています。
Remove Toolは「ブラシで塗るだけで不要物を除去」できるツールです。従来の「コンテンツに応じた塗りつぶし」と比較して、AI判断による補完が優れている場面が多くなりました。ただし、大きなオブジェクトの削除ではまだ限界があるため、複雑なケースではGenerative Fillとの併用がおすすめです。
Reference Image for Generative Fill──GA(正式版)へ
参照画像のスタイルとジオメトリを保持
Reference Image for Generative Fill(参照画像によるGenerative Fill)が正式版(GA: General Availability)になりました。
この機能は、参照画像のオブジェクトのアイデンティティを保持しつつ、新しい画像を生成するものです。27.3では「ジオメトリ認識」が強化され、参照オブジェクトのスケール、回転、ライティング、カラー、パースペクティブを適切に調整して合成結果に反映します。
具体的にはどういう場面で使うんですか?
たとえば商品写真を別のシーンに合成したい場合。商品の参照画像を指定してGenerative Fillを実行すると、背景に合わせた照明やアングルで商品が生成されます。以前はスタイルだけの反映でしたが、27.3では形状やパースまで考慮されるようになりました。EC商品レタッチのワークフローが大きく変わる可能性があります。
Dynamic Text(ベータ)──曲線テキストが非破壊で
テキストを曲線・円弧・ワープに変形
Dynamic Text(ダイナミックテキスト)がベータ機能として追加されました。テキストを円形、アーチ型、波型などに変形できます。
テキストのワープって前からありますよね?何が違うんですか?
従来のワープテキストとの最大の違いは、変形後もテキストが完全に編集可能な点です。フォント変更、サイズ変更、文言の修正がいつでもできます。従来はワープ後にテキスト内容を変えると形が崩れることがありましたが、Dynamic Textではキャンバス上のコントロールポイントで直感的に調整でき、テキストはライブ状態を維持します。
Dynamic Textはベータ機能です。設定 → テクノロジープレビューで有効化する必要があります。今後のアップデートで仕様が変更される可能性がある点に注意してください。
その他の改善点
スクラッチディスク管理の最適化
スクラッチディスクの空き容量の推奨値が更新され、設定の最適化が行われています。大容量ファイルを扱うレタッチャーにとっては、パフォーマンスの安定性向上が期待できます。
パフォーマンス改善とバグ修正
全体的なパフォーマンスの改善と、前バージョン(27.2)で報告されていた各種バグの修正が含まれています。
まとめ
Photoshop 27.3は、レタッチャーの実務に直結するアップデートです。
特にClarity&Dehaze&Grainの調整レイヤー化は、Camera Rawフィルターに頼っていた処理をレイヤーパネル内で完結できるようにする大きな変化です。マスク対応なので、部分的な適用が格段にやりやすくなりました。
生成AI機能の2K出力対応も、商業レタッチでのAI活用のハードルを下げる重要なアップデートです。
Creative Cloudアプリから最新版に更新して、まずはClarity調整レイヤーの使い心地を試してみてください。
よくある質問(記事のおさらい)
Clarity&Dehaze・Grainの調整レイヤー化、生成AI機能の2K出力対応、Remove Toolモデル3、Reference Image for Generative Fillの正式版化、Dynamic Text(ベータ)が主な新機能です。
非破壊編集が可能になり、マスクで部分的に適用できます。Camera Rawフィルターに切り替えずにレイヤーパネル内で完結するため、ワークフローが効率化されます。
Generative Fill、Generative Expand、Remove Toolの出力解像度が約2048×2048ピクセル相当に向上しました。シャープネスの改善とアーティファクトの減少により、商業利用に耐えうる品質に近づいています。
テキストを円形・アーチ型・波型に変形しつつ、内容を編集可能な状態で維持できるベータ機能です。設定のテクノロジープレビューから有効化できます。
Creative Cloudデスクトップアプリを開き、Photoshopの「アップデート」ボタンから更新できます。Creative Cloud有料プラン(フォトプラン月額2,380円〜)が必要です。
※本記事の情報は2026年2月時点のものです。最新情報はAdobe公式サイトでご確認ください。