Photoshop 27.0がリリースされました。
今回の目玉はパートナーAIモデルの追加。生成塗りつぶしで、Adobe Firefly以外のAIモデルが選べるようになりました。
また、ベータ版だった「調和」機能が正式版に昇格。レタッチワークフローを変える可能性を秘めたアップデートです。

アップデート概要
バージョン情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| バージョン | 27.0 |
| リリース日 | 2025年11月4日 |
| 種類 | メジャーアップデート |
主な新機能
- パートナーAIモデル(Gemini、FLUX)
- 調和(Harmonize)正式版
- 生成アップスケール正式版
- プロジェクト機能
- Adobe Expressテンプレート統合
パートナーAIモデル
何が変わったのか
生成塗りつぶし(Generative Fill)で、Adobe Firefly以外のAIモデルを選択できるようになりました。
対応AIモデル:
- Adobe Firefly(デフォルト)
- Google Gemini(Nano Banana)
- Black Forest Labs FLUX Kontext Pro
なぜ複数のAIモデルが必要なんですか?
AIモデルによって得意なシーンが違うんです。人物ならFirefly、風景ならFLUXというように、内容に合わせて選べるようになりました。
各モデルの特徴
Adobe Firefly
- バランスの取れた結果
- 商用利用の安心感
- 日本語プロンプト対応
Google Gemini(Nano Banana)
- 複雑なシーンの理解力
- テキスト生成に強い
- 自然な質感表現
FLUX Kontext Pro
- 高品質な画像生成
- アーティスティックな表現
- リアルな人物表現
実際に比較してみた
同じプロンプト「草原に立つ一本の木」で3つのモデルを試してみました。
Firefly: 安定した結果。商業使用に適した無難な仕上がり。
Gemini: より自然なライティング。空の表現が特に良い。
FLUX: アーティスティックな雰囲気。写真というよりアート作品寄り。
商業レタッチにはFirefly、風景や建築にはGemini、クリエイティブな作品にはFLUXがおすすめです。迷ったらFireflyで始めて、満足できなければ他を試す流れが効率的。

調和(Harmonize)正式版
ベータ版からの改善点
7月のベータ版から正式版になり、いくつかの改善が加えられています。
改善点:
- 処理速度の向上(約30%高速化)
- 影の処理精度向上
- より自然な色調調整
- UIの改善
使い方(正式版)
- 合成オブジェクトのレイヤーを選択
- 「フィルター」→「ニューラルフィルター」→「調和」
- 強度を調整して適用
ベータ版では影の処理が弱かったんですが、正式版ではかなり改善されています。商品合成の初期段階で使うと、後工程がかなり楽になります。
活用例
商品撮影の背景差し替え
- 商品を切り抜き
- 新しい背景に配置
- 調和を適用
- 必要に応じて微調整
この流れで、以前は30分かかっていた作業が10分程度になりました。
注意点
調和は「光と色の調整」が主な機能です。パースの不整合や、物理的におかしい合成を自然に見せる魔法ではありません。基本的な合成スキルは依然として必要です。
生成アップスケール正式版
ベータ版からの変更
Topaz Labsとの提携による生成アップスケールも正式版になりました。
改善点:
- 処理速度向上
- テキストの扱いが改善
- より自然なディテール生成
活用シーン
- クライアントから受け取った低解像度素材
- 古いデジカメの写真
- スマホで撮影した素材の高品質化

プロジェクト機能
Adobe製品間の連携強化
新しい「プロジェクト」機能で、Photoshop、Illustrator、Expressのファイルを一つのプロジェクトとしてまとめて管理できるようになりました。
メリット
- 関連ファイルの整理が簡単に
- チームでの共同作業が効率化
- Adobe Creative Cloudでの一元管理
レタッチ作業での活用
正直なところ、純粋なレタッチ作業ではあまり出番がないかもしれません。
ただ、デザイナーと協業する場合や、複数のソフトを横断して使う案件では便利です。
Adobe Expressテンプレート統合
何ができるか
Photoshopのホーム画面から、Adobe Expressのテンプレートを直接開けるようになりました。
活用シーン
- SNS用の投稿画像作成
- 簡単なバナー制作
- 招待状やフライヤー
これってレタッチャーに関係ありますか?
正直、レタッチ作業自体には関係ないですね。ただ、SNS運用も任されている方には便利かもしれません。
Firefly履歴の統合
新機能
Adobe Fireflyで生成した画像の履歴を、Photoshopのホーム画面から直接確認できるようになりました。
気に入った生成結果をPhotoshopで開いて、さらに編集を加えることが可能です。
ワークフロー
- Firefly(Web版)でアイデア出し
- 良さそうな結果をPhotoshopで開く
- 細部をレタッチして仕上げる
アイデア段階はFireflyで気軽に試して、本格的な編集はPhotoshopで行う——という使い分けができます。
アップデートすべきか
強くおすすめする人
- 生成AI機能を頻繁に使う人
- 合成作業が多い人
- 低解像度素材を扱う機会がある人
- 最新技術を取り入れたい人
様子見でいい人
- 生成AI機能を使わない人
- 現在のワークフローで満足している人
- 安定性を最優先する人
メジャーバージョンアップのため、プラグインの互換性は必ず確認してください。主要なプラグインは対応済みですが、マイナーなものは各自で確認を。
まとめ
Photoshop 27.0は、生成AI機能の大幅な強化を軸としたメジャーアップデートです。
注目の新機能:
- パートナーAIモデル(Gemini、FLUX)の追加
- 調和機能の正式版リリース
- 生成アップスケールの正式版リリース
- プロジェクト機能
- Firefly履歴統合
特にパートナーAIモデルの追加は、生成AI機能の可能性を大きく広げます。シーンに合わせて最適なAIを選べるようになり、より自然な結果が得られるようになりました。
生成AI機能を活用したい方には、間違いなくおすすめできるアップデートです。