Photoshopでのレタッチ作業、マウス操作だけで行っていませんか?ショートカットを使いこなせば、同じ作業が半分以下の時間で完了します。
この記事では、プロのレタッチャーが実際に毎日使っているショートカットを厳選して紹介します。
なぜショートカットを覚えるべきなのか
ショートカットって覚えるの大変そう…。マウスでも作業できるし、別にいいんじゃないですか?
確かに最初は覚えるのが大変に感じますが、例えば1回の操作で2秒節約できるショートカットを1日100回使えば、それだけで約3分の短縮。1ヶ月で1時間以上の差になりますよ。
レタッチ作業は細かい操作の繰り返しです。ブラシサイズの変更、レイヤーの切り替え、やり直し…。これらを全てマウスで行うと、積み重なって膨大な時間のロスになります。
レタッチで必須の基本ショートカット
まずは毎日使う基本操作から覚えましょう。
ファイル操作
| 操作 | Windows | Mac |
|---|---|---|
| 保存 | Ctrl + S | Command + S |
| 別名で保存 | Ctrl + Shift + S | Command + Shift + S |
| 元に戻す | Ctrl + Z | Command + Z |
| やり直し | Ctrl + Shift + Z | Command + Shift + Z |
作業中は「Ctrl + S」を癖にしましょう。Photoshopは突然落ちることもあるので、こまめな保存が重要です。
表示・画面操作
| 操作 | Windows | Mac |
|---|---|---|
| ズームイン | Ctrl + + | Command + + |
| ズームアウト | Ctrl + - | Command + - |
| 画面に合わせて表示 | Ctrl + 0 | Command + 0 |
| 100%表示 | Ctrl + 1 | Command + 1 |
| 画面スクロール | Space + ドラッグ | Space + ドラッグ |
肌のレタッチなど細部を確認する際は「Ctrl + 1」で100%表示、全体を見るときは「Ctrl + 0」。この切り替えを素早くできると作業効率が上がります。
レタッチツールのショートカット
ツールのショートカットって、全部覚えないとダメですか?
いえ、レタッチでよく使うものだけでOKです。以下の6つを覚えれば、ほとんどの作業がカバーできます。
よく使うツール
| ツール | ショートカット | 用途 |
|---|---|---|
| ブラシ | B | マスク編集、ペイント |
| スポット修復ブラシ | J | シミ・ニキビ除去 |
| コピースタンプ | S | 肌の複製、テクスチャ修正 |
| スポイト | I | 色のサンプリング |
| 移動ツール | V | レイヤーの移動 |
| 選択ツール | M | 範囲選択 |
ブラシサイズの変更(超重要)
レタッチ作業で最も頻繁に行う操作がブラシサイズの変更です。
| 操作 | Windows | Mac |
|---|---|---|
| ブラシサイズを大きく | ] | ] |
| ブラシサイズを小さく | [ | [ |
| ブラシの硬さを上げる | Shift + ] | Shift + ] |
| ブラシの硬さを下げる | Shift + [ | Shift + [ |
Windows: Alt + 右ボタンドラッグで直感的にサイズ変更
Mac: Control + Option + ドラッグでサイズ変更
左右のドラッグでサイズ、上下のドラッグで硬さが変わります。これを覚えると、]キーを連打する必要がなくなります。
レイヤー操作のショートカット
レタッチは非破壊編集が基本。レイヤー操作を素早くできることが重要です。
| 操作 | Windows | Mac |
|---|---|---|
| 新規レイヤー | Ctrl + Shift + N | Command + Shift + N |
| レイヤーを複製 | Ctrl + J | Command + J |
| 下のレイヤーと結合 | Ctrl + E | Command + E |
| 表示レイヤーを結合 | Ctrl + Shift + E | Command + Shift + E |
| レイヤーをグループ化 | Ctrl + G | Command + G |
レイヤーの不透明度を素早く変更
テンキーの数字を押すと、レイヤーの不透明度を瞬時に変更できます。
- 1 → 10%
- 5 → 50%
- 0 → 100%
- 55(素早く2回押す)→ 55%
肌レタッチで「ちょっと効果が強すぎるな」と思ったとき、マウスでスライダーを動かすより圧倒的に速いです。
選択範囲のショートカット
選択範囲の操作を覚えると、部分的な補正が格段にやりやすくなります。
| 操作 | Windows | Mac |
|---|---|---|
| 全選択 | Ctrl + A | Command + A |
| 選択解除 | Ctrl + D | Command + D |
| 選択範囲を反転 | Ctrl + Shift + I | Command + Shift + I |
| 選択範囲をぼかす | Shift + F6 | Shift + F6 |
選択範囲の追加・削除
- Shift + 選択操作: 選択範囲に追加
- Alt(Option)+ 選択操作: 選択範囲から削除
これを使えば、複雑な形状の選択も簡単にできます。
色調補正のショートカット
| 操作 | Windows | Mac |
|---|---|---|
| トーンカーブ | Ctrl + M | Command + M |
| 色相・彩度 | Ctrl + U | Command + U |
| レベル補正 | Ctrl + L | Command + L |
| カラーバランス | Ctrl + B | Command + B |
| 階調の反転 | Ctrl + I | Command + I |
これらは選択中のレイヤーに直接適用されます。非破壊編集をするなら、調整レイヤーを使いましょう。
描画色・背景色のショートカット
マスク編集時に特に便利なショートカットです。
| 操作 | Windows | Mac |
|---|---|---|
| 描画色/背景色を入れ替え | X | X |
| 描画色/背景色を初期設定(白黒)に戻す | D | D |
| 描画色で塗りつぶし | Alt + Delete | Option + Delete |
| 背景色で塗りつぶし | Ctrl + Delete | Command + Delete |
レイヤーマスクを編集するとき、「D」で白黒に戻してから「X」で切り替えながらブラシで塗る。これが最速のマスク編集方法です。
自由変形のショートカット
| 操作 | Windows | Mac |
|---|---|---|
| 自由変形 | Ctrl + T | Command + T |
| 変形を再実行 | Ctrl + Shift + T | Command + Shift + T |
変形中の便利な操作
- Shift + ドラッグ: 縦横比を固定(※Photoshop CC 2019以降は逆)
- Alt(Option)+ ドラッグ: 中心を基準に拡大縮小
- Ctrl(Command)+ ドラッグ: コーナーを自由に移動
ショートカットを覚えるコツ
こんなにたくさん、覚えられる気がしません…
一度に全部覚える必要はありません。コツをお教えしますね。
1. 毎日使うものから3つだけ覚える
まずは以下の3つから始めましょう。
- Ctrl + S(保存)
- Ctrl + Z(元に戻す)
- Space + ドラッグ(画面スクロール)
2. 1週間に1カテゴリずつ追加
- 1週目:ファイル操作
- 2週目:ブラシ操作
- 3週目:レイヤー操作
- 4週目:選択範囲
3. 意識的に使う
最初は遅くてもいいので、意識的にショートカットを使いましょう。2週間も続ければ、指が自然に動くようになります。
4. カスタマイズは慎重に
覚えるの大変だし、自分が使いやすいようにカスタマイズしちゃおうかな…
実は、それはあまりおすすめしません。
「編集」→「キーボードショートカット」から、よく使う機能に押しやすいキーを割り当てることは可能です。ただし、安易なカスタマイズは避けたほうが無難です。
- 他の環境で困る: 会社のPCや他人のPCで作業する際、自分のカスタム設定がなく混乱する
- チュートリアルが使えない: ネットの解説や講座は標準設定が前提。カスタムしていると説明と違って混乱する
- 独自の癖がつく: 標準のショートカットが身につかないまま、自己流に慣れてしまう
- 設定の引き継ぎが面倒: プリセットの書き出し・読み込みはできるが、忘れると一からやり直し
よほど特殊な作業が多い場合を除き、まずは標準のショートカットを覚えることをおすすめします。
まとめ
レタッチ作業で特に重要なショートカットをまとめると:
- 保存: Ctrl(Command)+ S
- 元に戻す: Ctrl(Command)+ Z
- ブラシサイズ: [ と ]
- レイヤー複製: Ctrl(Command)+ J
- 描画色/背景色入れ替え: X
まずはこの5つから始めて、徐々にレパートリーを増やしていきましょう。
ショートカットを覚えることは、レタッチャーとしてのスキルアップに直結します。最初は面倒に感じても、1ヶ月後には「なぜもっと早く覚えなかったんだろう」と思うはずです。