「レタッチを外注すると高くつく」
「自社でやった方が安いはず」
本当にそうでしょうか?
この記事では、内製と外注のコストを具体的な数字で比較します。あなたの会社にとって、どちらが得か判断する材料にしてください。
内製にかかるコスト
1. 人件費
レタッチャーを雇う場合のコスト:
| 項目 | 月額コスト |
|---|---|
| 給与(未経験〜中堅) | 25〜35万円 |
| 社会保険料(会社負担) | 約4〜5万円 |
| 福利厚生・交通費 | 約2〜3万円 |
| 残業代(繁忙期) | 約5〜10万円 |
| 合計 | 36〜53万円 |
レタッチ業務は納期に追われることが多く、繁忙期には深夜まで作業することも珍しくありません。残業代を適正に支払うと、人件費は1.2〜1.5倍に膨らみます。
2. 設備・ソフトウェア
| 項目 | 初期費用 | 月額換算 |
|---|---|---|
| PC(レタッチ用) | 20〜40万円 | 約5,000〜1万円 |
| モニター(カラマネ対応) | 10〜20万円 | 約2,500〜5,000円 |
| Adobe CC | - | 約7,000円 |
| キャリブレーター | 3〜5万円 | 約500〜1,000円 |
| 月額合計 | - | 約1.5〜2.3万円 |
3. 教育・管理コスト
見落としがちな「隠れコスト」:
- 教育にかかる時間(先輩社員の工数)
- 品質管理・チェックの時間
- 退職リスク(採用・教育のやり直し)
人を雇うと、給与以外に教育・管理・退職リスクのコストがかかります。これを忘れると「思ったより高くついた」となりがちです。
4. 雇用リスク(日本特有の問題)
日本では、正社員を簡単に解雇できません。
これは内製化の最大のリスクです。
閑散期でも固定費は変わらない:
- 仕事がなくても給与は払い続ける
- 「今月は外注に回そう」ができない
- 景気悪化時、人件費がそのまま重荷に
採用のミスマッチ:
- スキルが期待以下でも解雇は困難
- 人間関係のトラブルが起きても配置換えしかできない
- 退職勧奨は法的リスクを伴う
「必要な時だけ使える」外注と、「常に固定費がかかる」内製。この違いは、経営の柔軟性に大きく影響します。
外注にかかるコスト
レタッチ外注の相場
| レタッチ内容 | 1枚あたり |
|---|---|
| 簡易補正(明るさ・色調整) | 300〜500円 |
| 人物レタッチ(標準) | 800〜1,500円 |
| 人物レタッチ(高品質) | 2,000〜5,000円 |
| 商品写真 | 500〜1,000円 |
| 合成・コンポジット | 3,000〜10,000円 |
外注のメリット
- 必要な時だけ使える(固定費ではなく変動費)
- 繁忙期・閑散期に柔軟に対応
- 品質が安定(プロに任せる)
- 教育・管理コストがかからない
コスト比較シミュレーション
ケース1:月100枚の場合
内製コスト(残業代込み):
- 人件費:40万円(残業代含む)
- 設備費:2万円
- 合計:42万円
- 1枚あたり:4,200円
外注コスト(人物レタッチ1,000円/枚):
- 100枚 × 1,000円 = 10万円
- 1枚あたり:1,000円
→ 外注の方が32万円安い
ケース2:月500枚の場合
内製コスト(残業代込み):
- 人件費:45万円(繁忙期の残業代含む)
- 設備費:2万円
- 合計:47万円
- 1枚あたり:940円
外注コスト:
- 500枚 × 1,000円 = 50万円
- 1枚あたり:1,000円
→ ほぼ同等(内製がやや安いが、雇用リスクを考えると微妙)
ケース3:月1,000枚の場合
内製コスト(レタッチャー2名、残業代込み):
- 人件費:90万円(残業代含む)
- 設備費:4万円
- 合計:94万円
- 1枚あたり:940円
外注コスト(ボリュームディスカウント800円/枚):
- 1,000枚 × 800円 = 80万円
- 1枚あたり:800円
→ 外注の方が14万円安い
損益分岐点はどこ?
結局、月何枚から内製が得なんですか?
残業代や隠れコストを含めると、月500枚以上でようやく検討の余地があります。それでも雇用リスクを考えると、外注の方が安全なケースが多いです。
分岐点の計算式
内製コスト(月額固定) ÷ 外注単価 = 損益分岐枚数
例:内製47万円(残業代込み)、外注1,000円/枚の場合
→ 470,000 ÷ 1,000 = 470枚
仮に月500枚で内製が安くなったとしても、閑散期に仕事がなくなるリスク、採用のミスマッチリスク、退職時の引き継ぎコストなどを考えると、外注の方がトータルで安くなるケースが多いです。
数字だけでは判断できない要素
内製が向いているケース(限定的)
正直に言うと、内製が本当に得なケースは限られます。
- 月1,000枚以上を安定して処理(変動が少ない)
- 機密性が極めて高く、外部に出せない
- レタッチャーの育成自体が事業目的
「独自のスタイルがある」は内製の理由になりません。外注先に指示書を渡せば、同じスタイルで仕上げてもらえます。
外注が向いているケース(ほとんどの会社)
ほとんどの会社にとって、外注が正解です。
- 月の処理枚数が変動する(ほぼ全ての会社)
- 繁忙期と閑散期の差が大きい
- レタッチ専門ではない会社
- 高品質を安定して求める
- 経営の柔軟性を保ちたい
- 固定費を増やしたくない
ハイブリッド運用という選択肢
「通常は内製、繁忙期だけ外注」というハイブリッド運用もおすすめです。
メリット:
- 固定費を抑えながら、ピーク時に対応できる
- 内製チームの教育にもなる(外注の品質を参考にできる)
運用例:
- 基本:社内レタッチャー1名(月300枚対応)
- 繁忙期:超過分を外注
まとめ
- 月500枚以下:外注が得(ほぼ確実)
- 月500〜1,000枚:外注が安全(雇用リスクを考慮)
- 月1,000枚以上:内製も検討可能(ただしリスクを覚悟)
結論:ほとんどの会社にとって、外注が正解です。
内製は「安く済む」と思われがちですが、残業代、教育コスト、採用リスク、解雇できないリスクを含めると、想像以上にコストがかかります。
まずは外注で始めて、本当に内製が必要なレベルになってから検討する——これが最もリスクの低い選択です。
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