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プロのレタッチワークフロー|Lightroom→Photoshopの効率的な連携術
ワークフロー

プロのレタッチワークフロー|Lightroom→Photoshopの効率的な連携術

「どこから手をつければいいかわからない」——レタッチ初心者がよく陥る悩みです。プロは決まった流れで効率よく作業しています。LightroomからPhotoshopへの連携を含む、実践的なワークフローを公開。

レタッチの作業、いつも行き当たりばったりになっていませんか?

プロのレタッチャーは、決まった「流れ」を持っています。どの写真でも同じ順序で作業することで、効率が上がり、品質も安定します。

この記事では、LightroomからPhotoshopへの連携を含む、プロの実践的なワークフローを解説します。

美しい自然の中で

レタッチワークフローの全体像

まず、プロのレタッチワークフローの全体を見てみましょう。

基本の流れ

  1. セレクト(Lightroom)— 良い写真を選ぶ
  2. RAW現像(Lightroom)— 基本的な補正
  3. 細部のレタッチ(Photoshop)— 肌補正、合成など
  4. 最終調整(Photoshop/Lightroom)— 色味、トーンの仕上げ
  5. 書き出し(Lightroom)— 納品用ファイルの生成
読者
読者

LightroomとPhotoshop、両方使うんですか?

レタッチャー
レタッチャー

はい。大量の写真を効率的に処理するのがLightroom、1枚を丁寧に仕上げるのがPhotoshop。それぞれの得意分野を活かして使い分けます。

なぜこの順序なのか

  • 効率の問題: 全写真を1枚ずつPhotoshopで開くのは非効率
  • 品質の問題: RAW現像後にレタッチする方が画質が良い
  • 管理の問題: Lightroomで一元管理すると整理しやすい

Phase 1: セレクト(Lightroom)

セレクトの重要性

撮影した写真すべてをレタッチするのは現実的ではありません。

「どの写真をレタッチするか」を決めるセレクト作業が、全体の効率を左右します

セレクトの流れ

  1. ざっくり見る — グリッド表示で全体を眺める
  2. 明らかなNGを除外 — ピンボケ、ブレ、構図ミスなど
  3. 候補を絞る — フラグやレーティングで候補をマーク
  4. 最終選定 — 比較表示で最終候補を決定

便利なショートカット

ショートカット 機能
P 採用フラグ
X 不採用フラグ
U フラグ解除
1〜5 レーティング(星)
N 比較表示

セレクトのコツ

  • 1回目は感覚で: 「いい」と思った写真にどんどんフラグを
  • 2回目で絞る: 採用フラグの中から、さらに厳選
  • 迷ったら外す: 迷う写真は使わない方が良いことが多い

建物と光

Phase 2: RAW現像(Lightroom)

セレクトが終わったら、選んだ写真をRAW現像します。

現像の順序

  1. レンズ補正 — 歪み、周辺光量落ちを補正
  2. ホワイトバランス — 色温度、色かぶり補正
  3. 露出調整 — 全体の明るさ
  4. トーン調整 — ハイライト、シャドウ、白黒レベル
  5. コントラスト/明瞭度 — メリハリをつける
  6. 色調整 — HSL、カラーグレーディング
  7. 部分補正 — マスクを使った部分的な調整

複数写真への一括適用

同じ撮影条件の写真は、設定を一括で適用できます。

  1. 1枚を完璧に調整
  2. 他の写真を選択
  3. 「設定を同期」

これで数十〜数百枚を一瞬で処理できます。

現像は80%を目指す

Lightroom での現像は、完璧を目指さなくてOK。80%くらいの仕上がりで十分です。残りの20%はPhotoshopで仕上げます。完璧を求めすぎると時間がかかりすぎます。

Phase 3: LightroomからPhotoshopへ

細部のレタッチが必要な写真は、Photoshopに送ります。

送り方

Lightroomで写真を選択 → 右クリック →「他のツールで編集」→「Adobe Photoshopで編集」

送る際の設定

ダイアログが表示されます:

オプション 推奨設定
Lightroom調整を含めたコピーを編集 ○(通常はこれ)
元画像を編集 RAW設定を変えたくない場合
コピーを編集 Lightroom調整なしで開く場合
  • ファイル形式: TIFF(最高画質)またはPSD
  • カラースペース: ProPhoto RGB(広色域)またはAdobe RGB
  • ビット数: 16bit(階調を保持)
レタッチャー
レタッチャー

「Lightroom調整を含めたコピーを編集」を選べば、RAW現像の結果をそのままPhotoshopで開けます。編集が終わったら保存すれば、自動でLightroomに戻ります。

Phase 4: Photoshopでのレタッチ

Photoshopでは、Lightroomではできない細かい作業を行います。

Photoshopでやること

  • 肌のレタッチ(周波数分離、ドッジ&バーン)
  • 不要物の高度な除去
  • 合成作業
  • 背景の差し替え
  • 細部の調整

レイヤー構造の基本

プロは決まったレイヤー構造で作業します。

├─ 最終調整グループ
│   ├─ トーンカーブ(最終)
│   └─ 色相・彩度(最終)
├─ レタッチグループ
│   ├─ ドッジ&バーン
│   ├─ 周波数分離(高周波)
│   └─ 周波数分離(低周波)
├─ クリーンアップグループ
│   └─ スポット修正レイヤー
└─ 背景(元画像)

非破壊編集を徹底

風景の中で

Phase 5: 最終調整と書き出し

Photoshopでの保存

Photoshopでの編集が終わったら、保存(Ctrl/Cmd + S)するだけ。

ファイルは自動的にLightroomのライブラリに反映されます。

Lightroomでの最終確認

Photoshopから戻った写真は、Lightroomで最終確認。

  • 全体のトーンを確認
  • 他の写真と並べて比較
  • 必要に応じて微調整

書き出し設定

用途に応じた書き出し設定:

Web用:

  • 形式:JPEG
  • 品質:80〜90%
  • サイズ:長辺2000px程度
  • カラースペース:sRGB

印刷用:

  • 形式:TIFF
  • カラースペース:Adobe RGB
  • サイズ:フルサイズ

納品用アーカイブ:

  • 形式:TIFF(レイヤー維持の場合はPSD)
  • 最高品質
  • フルサイズ

ワークフローを効率化するコツ

コツ1: アクションを活用

繰り返す作業はPhotoshopのアクションで自動化。

  • 周波数分離のセットアップ
  • ドッジ&バーンレイヤーの作成
  • 書き出し用のリサイズ

コツ2: プリセットを活用

Lightroomのプリセットで現像を効率化。

  • 撮影環境別の基本設定
  • カラーグレーディング
  • 書き出し設定

コツ3: ショートカットを覚える

マウス操作を減らすことで、作業速度が格段に上がります。

レタッチャー
レタッチャー

正直、ショートカットを覚えるのが一番の時短です。最初は面倒でも、1週間も使えば体が覚えます。投資対効果は抜群。

コツ4: テンプレートPSDを用意

よく使うレイヤー構造をテンプレートとして保存しておくと、毎回同じ構造で作業できます。

ジャンル別ワークフロー例

ポートレートの場合

  1. Lightroom: 基本現像、肌色調整
  2. Photoshop: 周波数分離で肌レタッチ、ドッジ&バーンで立体感
  3. Photoshop: 背景ぼかし、髪の毛の処理
  4. Lightroom: 最終的な色味調整、書き出し

商品撮影の場合

  1. Lightroom: ホワイトバランス統一、一括現像
  2. Photoshop: 背景切り抜き、影の作成
  3. Photoshop: 不要な傷やホコリ除去
  4. Lightroom: 形式変換、一括書き出し

風景写真の場合

  1. Lightroom: RAW現像、空と地面の部分補正
  2. Photoshop: 不要物除去、HDR的な処理
  3. Lightroom: 最終調整、書き出し

まとめ

プロのレタッチワークフローは、効率と品質を両立させる「流れ」です。

基本の5ステップ:

  1. セレクト(Lightroom)— 良い写真を選ぶ
  2. RAW現像(Lightroom)— 基本補正、80%の仕上げ
  3. レタッチ(Photoshop)— 細部の作業
  4. 最終調整(Lightroom/Photoshop)— 仕上げ
  5. 書き出し(Lightroom)— 用途に合わせた出力

効率化のポイント:

  • Lightroomで大量処理、Photoshopで細部処理
  • アクションとプリセットを活用
  • ショートカットを覚える
  • テンプレートで作業を標準化

「流れ」を決めることで、迷いがなくなり、作業が速くなります

最初は時間がかかっても、同じ流れを繰り返すことで、どんどん速くなります。まずはこの基本フローを自分のものにして、そこから自分なりにカスタマイズしていきましょう。

写真の仕上がりを劇的に変える