レタッチャーという職業をご存知ですか?広告や雑誌で見かける美しい写真の裏には、レタッチャーの繊細な仕事があります。
レタッチャーとは
レタッチャーとは、写真や画像の補正・修正・加工を専門に行う職種です。Photoshopなどの画像編集ソフトを使い、広告、雑誌、カタログ、Webサイトなど様々な媒体で使用される画像のクオリティを高めます。
レタッチャーって、写真を修正する人ってことですか?
そうですね。ただ「修正」だけでなく、クライアントのイメージを写真で実現する仕事です。肌をきれいにするだけでなく、色味の調整や合成など、幅広い技術が求められます。
レタッチの仕事は「裏方」と思われがちですが、実は非常に重要な役割を担っています。クライアントやデザイナーが頭に描くイメージと、実際の写真との間にあるギャップを埋め、理想のビジュアルを実現するのがレタッチャーの仕事です。
レタッチャーの仕事内容
1. クライアントへのヒアリング
まずクライアントから、画像の用途やコンセプト、仕上がりのイメージをヒアリングします。
- どんな媒体で使用するか(広告、雑誌、Web、SNSなど)
- どのような雰囲気に仕上げたいか(ナチュラル、ビジュアル寄りなど)
- 具体的な修正箇所の確認
2. 補正作業
全体的な明るさ・コントラストの調整、色温度や色調(トーン)の補正を行います。
3. 修正作業
- 不要なオブジェクトの除去
- 肌の質感の調整
- 髪の毛の乱れの修正
- 指定サイズへのトリミング
プロのレタッチでは「全部を消す」のではなく、自然な質感を残しながら修正することが重要です。
4. 加工・合成
エフェクトをかけたり、複数の素材を合成したりして、元の画像にはないクリエイティブな表現を生み出します。
5. 納品
クライアントの最終チェックを受け、必要に応じて追加修正を行い、指定された形式で納品します。
レタッチャーが活躍する分野
広告・グラフィック
- 交通広告:駅構内や電車内のポスター、デジタルサイネージ
- 雑誌広告:ファッション誌、美容誌、ライフスタイル誌
- 商品カタログ:アパレル、家電、食品など
Web・デジタル
- Webバナー広告
- ECサイトの商品画像
- SNS用ビジュアル
- LP(ランディングページ)
人物・ポートレート
- タレント・モデルの宣材写真
- 化粧品・スキンケア広告
- ウェディングフォト
- 企業の社員紹介写真
カメラマン・デザイナーとの違い
| 職種 | 主な仕事 |
|---|---|
| カメラマン | 被写体の撮影、RAWデータの現像 |
| レタッチャー | 撮影された写真の補正・修正・加工 |
| デザイナー | レタッチ後の画像を使ったレイアウト・デザイン |
カメラマン→レタッチャー→デザイナーという流れで仕事がつながっており、それぞれが兼任することも多いです。
レタッチャーに必要なスキル
レタッチャーになるには、どんなスキルが必要ですか?
まずはPhotoshopの操作スキルが必須です。あとは色彩感覚とコミュニケーション能力ですね。意外かもしれませんが、コミュニケーションはとても大事なんです。
1. Photoshopの操作スキル(必須)
レタッチの現場では、Adobe Photoshopが標準ツールです。基本操作はもちろん、レイヤーとマスク、調整レイヤー、各種フィルターなど、高度な機能を使いこなす必要があります。
2. 色彩感覚・観察力
写真の色味や質感の微妙な違いを見極める目が必要です。
3. コミュニケーション能力
クライアントの意図や要望を正確に汲み取る力が重要です。「派手に直す」よりも「やりすぎないこと」「わからないように整えること」がプロのレタッチ。
おすすめの資格
レタッチャーになるために必須の資格はありませんが、以下の資格は就職やスキルアップに役立ちます。
| 資格名 | 内容 |
|---|---|
| Photoshopクリエイター能力認定試験 | Photoshopの活用能力を問う試験 |
| 色彩検定 | 文部科学省後援の公的資格。色・配色に関する知識を証明 |
レタッチャーの年収
レタッチャーって、ぶっちゃけ稼げるんですか?
正直、最初は厳しいです。でもトップレベルになれば年収1,000万円以上稼ぐ人もいますよ。スキル次第でかなり変わる職業ですね。
| レベル | 年収目安 |
|---|---|
| 未経験〜数年 | 250〜360万円 |
| 中堅(実務経験5年以上) | 400〜600万円 |
| トップレタッチャー・独立 | 1,000万円以上 |
平均年収は決して高くありませんが、これはレタッチャーの大半が20代前半の若年層であることも要因の一つです。
広告業界で名を馳せるトップレタッチャーになれば、1案件で数十万円〜数百万円の報酬を得ることも珍しくありません。
レタッチャーになるには
未経験からの学び方
- 独学:参考書やオンライン講座でPhotoshopの操作を学ぶ
- 専門学校:デザインや写真に特化した学校で体系的に学ぶ
- 実践練習:自分で撮影した写真でレタッチの練習を重ねる
就職先
- 広告制作会社
- 出版社
- デザイン事務所
- フォトスタジオ
- レタッチ専門会社
未経験でも、アシスタントから始めて実務経験を積むことで、正社員への道が開けます。
レタッチャーのキャリアパス
レタッチャーとしての経験を活かせるキャリアパスは豊富です。
- DTPデザイナー:印刷物の企画・レイアウト・デザイン
- グラフィックデザイナー:印刷・Web問わず幅広い媒体のデザイン
- アートディレクター:ビジュアル全体のディレクション
- フリーランス:独立して複数のクライアントと仕事
まとめ
レタッチャーは、写真や画像を補正・修正・加工する画像編集のプロフェッショナルです。表舞台には出にくい裏方の仕事ですが、広告やメディアのビジュアルクオリティを左右する重要な役割を担っています。
レタッチの世界は「目立たないけれど繊細で面白い」です。興味がある方は、まずPhotoshopを触ってみることから始めてみてください!