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【2025年】レタッチトレンド完全ガイド|AI時代の写真編集最前線
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【2025年】レタッチトレンド完全ガイド|AI時代の写真編集最前線

2025年、レタッチの世界は大きな転換期を迎えています。AI技術の進化、ナチュラル志向、インクルーシブな表現など、プロが押さえるべき最新動向を解説します。

2025年、レタッチの世界は大きな転換期を迎えています。

AI技術の急速な進化、消費者の「本物志向」、多様性を尊重する社会の流れ。これらが組み合わさり、レタッチの常識が大きく変わりつつあります。

レタッチ市場の現状(世界)

市場 2024年規模 2030年予測 成長率
写真編集ソフト市場 約1,725億円 約2,730億円 年4.7%
レタッチサービス市場 約4,800億円 約6,150億円(2026年) 年7-8%
写真業界全体 約15.8兆円 約24.3兆円 年4.4%

EC、広告、インフルエンサーマーケティングなど、商用写真の需要拡大がレタッチ市場を牽引しています。

お客さん
お客さん

最近のレタッチって、昔と何が違うんですか?

レタッチャー
レタッチャー

一番大きいのはAI技術ですね。背景の除去や肌補正がボタン一つでできるようになりました。ただ、それ以上に大きな変化は「自然さ」を求める流れです。過度な加工は敬遠される時代になっています。

2025年の10大トレンド

1. ナチュラルな美肌補正

過度に滑らかな「プラスチック肌」は完全に時代遅れになりました。

2025年のトレンドは、肌の質感を残しながらシミやニキビだけを自然に除去する「ナチュラルレタッチ」です。毛穴や細かいシワは「リアルさの証」として残すのが主流になっています。

お客さん
お客さん

自然な仕上がりって、なんとなく簡単そうに思えるんですけど…

レタッチャー
レタッチャー

実は逆なんです。「自然に見せる」ほど、細かいバランス調整が必要で、技術も時間もかかります。AIでも派手な加工は簡単にできますが、自然さを保つ調整は人の目が欠かせません。

2. AI搭載ツールの本格活用

AIは「クリエイティブを奪うもの」ではなく「単純作業を代行するもの」として定着しました。

AIが得意な作業:

  • 背景の自動除去
  • 色補正の自動調整
  • 不要物の自動消去
  • 肌のベース補正

人間が担う作業:

  • 最終的な仕上がりの判断
  • クリエイティブな演出
  • クライアントの意図を汲んだ調整
  • 「自然さ」のバランス調整

3. シネマティックカラーグレーディング

映画のワンシーンのような色調整が、写真にも本格導入されています。

スタイル 特徴 用途
ハイキー 明るく柔らかい、白を基調 ライフスタイル、ビューティー
ローキー 暗めでコントラスト強め ポートレート、アーティスト写真
フィルム調 粒子感、褪せた色味 ファッション、SNS
ティール&オレンジ 映画的な補色コントラスト 広告、プロモーション

4. インクルーシブな表現

多様性を尊重する表現が、レタッチの世界でも当たり前になっています。

  • そばかすや肌の特徴を消さずに残す
  • 様々な肌色に対応した自然な補正
  • 体型を過度に変えない
  • 年齢を感じさせる要素も自然に

「完璧」を目指すのではなく、「その人らしさ」を引き出すレタッチが求められています。

5. レトロ・ヴィンテージ表現

デジタル全盛の時代だからこそ、フィルムのような温かみのある表現が人気です。

  • フィルムグレイン(粒子感)
  • 光漏れ(ライトリーク)
  • 褪せた色味
  • ソフトなコントラスト

6. 写真と動画のハイブリッドワークフロー

Instagram、TikTok、YouTubeなど、静止画と動画を横断したコンテンツ展開が当たり前になりました。

  • 静止画と動画で同じ色調
  • ブランドのトーンを統一
  • 複数媒体での展開を前提にした編集

7. 倫理的・透明なレタッチ

過度な加工への批判が高まり、「正直なレタッチ」が求められています。

  • 加工の有無を明示するブランドの増加
  • 「ライトレタッチのみ」という表記
  • ボディラインの変更を行わないポリシー

8. モバイルファーストの編集環境

スマートフォンでの撮影・編集・投稿が一連の流れになっています。

  • Lightroom Mobile:プロ級のRAW編集
  • Facetune Pro:高度な人物レタッチ
  • Snapseed:直感的な操作
  • Luminar Mobile:AI補正機能

9. 非破壊編集の標準化

元データを保護しながら編集する「非破壊編集」が完全に標準化しました。

  • いつでも元に戻せる
  • クライアントの修正依頼に柔軟に対応
  • 複数バージョンの作成が容易

10. AIアシスタントの登場

言葉で指示するとAIが編集を提案してくれる「AIアシスタント」が実用段階に入りました。

  • 「温かみのある雰囲気に」と指示すると色調整を提案
  • 編集の理由を説明してくれる
  • 複数パターンを自動生成

2025年注目のレタッチツール

ツール名 特徴 AI機能
Adobe Photoshop 2025 業界標準、最も多機能 生成AI、自動補正、ニューラルフィルター
Luminar Neo AI特化、直感的操作 空置換、ポートレートAI、背景除去
Capture One プロ向け、色調整が秀逸 マスク自動検出、AIノイズ除去
Affinity Photo 2 買い切り、コスパ良好 基本的なAI補正
Retouch4me 肌補正特化プラグイン テクスチャ保持の自動美肌

今後の展望

お客さん
お客さん

これからレタッチはどう変わっていくんでしょうか?

レタッチャー
レタッチャー

AIがさらに進化して、単純作業はほぼ自動化されるでしょう。でも「どんな仕上がりにするか」という判断は人間の仕事として残ります。技術よりもセンスや提案力が重要になっていきますね。

予測されるトレンド:

  • テキストから画像を生成・編集するAIの実用化
  • 動画レタッチの簡易化(静止画と同じ感覚で編集)
  • リアルタイム編集(撮影と同時にレタッチ完了)
  • AR/VR向けの立体的な写真編集

まとめ

2025年のレタッチトレンドをまとめると:

技術面:

  • AI技術が単純作業を代行
  • 非破壊編集が標準化
  • モバイル編集の高機能化

表現面:

  • ナチュラルさを重視した補正
  • インクルーシブな表現
  • シネマティックな色調整

姿勢面:

  • 倫理的・透明なレタッチ
  • ブランドの一貫性重視
  • 写真と動画のハイブリッド対応

AIがどれだけ進化しても、最終的な判断を下すのは人間です。技術を使いこなしながら、時代のニーズに応える表現力を磨くことが、これからのレタッチャーに求められるスキルと言えるでしょう。

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