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RGB vs CMYK完全解説|印刷で色がくすむ理由と正しい使い分け
基礎知識

RGB vs CMYK完全解説|印刷で色がくすむ理由と正しい使い分け

2025-12-10
2025-12-10 更新

「印刷したら色がくすんでしまった」——レタッチや印刷入稿でよく起こるこの問題、原因はRGBとCMYKの違いにあります。この記事を読めば、色がくすむ理由と正しい使い分けがすべてわかります。

「データ上では鮮やかだったのに、印刷したらなんだか暗い」——レタッチや印刷の現場でよく耳にする悩みです。

この原因の多くは、RGBとCMYKというカラーモードの違いにあります。両者の違いを理解すれば、印刷での色のトラブルを未然に防ぐことができます。

RGBとCMYKとは

お客さん
お客さん

RGBとCMYKって、何が違うんですか?

レタッチャー
レタッチャー

簡単に言うと、RGBは「光の色」、CMYKは「インクの色」です。画面で見る色と、紙に印刷する色は、そもそも仕組みが違うんです。

RGBとは

RGBは「Red(赤)・Green(緑)・Blue(青)」の頭文字で、光の三原色を使った色の表現方法です。

パソコンのモニター、スマートフォン、テレビなど、光を発するディスプレイで使われています。色を混ぜるほど明るくなり、すべて混ぜると白になります(加法混色)。

CMYKとは

CMYKは「Cyan(シアン)・Magenta(マゼンタ)・Yellow(イエロー)・Key plate(黒)」の頭文字で、色の三原色+黒を使った色の表現方法です。

印刷物やインクジェットプリンターなど、インクや顔料を使う場面で使われています。色を混ぜるほど暗くなり、すべて混ぜると黒に近づきます(減法混色)。

比較表

項目 RGB CMYK
原理 光の三原色(加法混色) 色の三原色+黒(減法混色)
用途 Web、モニター、動画 印刷物、紙媒体
色数 約1,677万色 約100万色
混ぜると 白くなる 黒くなる

なぜ印刷すると色がくすむのか

お客さん
お客さん

画面ではきれいな色だったのに、印刷したら暗くなってしまったんです...

レタッチャー
レタッチャー

それはRGBとCMYKの「色域」の違いが原因です。RGBで表現できる色の約35%は、CMYKでは再現できないんです。

色域(ガモット)の違い

人間の目に見える色のうち、CMYKはRGBの約65%しかカバーできません。特に以下の色は、CMYKで再現しにくい傾向があります。

  • 鮮やかな青・紫 — くすんで見える
  • 蛍光色のようなオレンジ — 彩度が落ちる
  • ネオンピンク — 地味な色味になる
  • 深い緑 — 濁って見える

なぜ再現できないのか

RGBは光そのもので色を表現するため、非常に鮮やかな色を出せます。一方CMYKは紙にインクを載せて「光を反射」させることで色を表現します。

この仕組みの違いにより、モニターで見た鮮やかな発色を紙の上で完全に再現することは、物理的に不可能なのです。

覚えておきたいポイント

RGBからCMYKへの変換は不可逆です。一度CMYKに変換したデータをRGBに戻しても、失われた色情報は復元できません。

用途別の正しい使い分け

Webやモニター表示 → RGB

  • ホームページの画像
  • SNS投稿用の写真
  • YouTubeのサムネイル
  • デジタルサイネージ

これらはすべてRGBで作成します。CMYKで作ると逆に色がくすんで見えてしまいます。

印刷物 → CMYK

  • チラシ、ポスター
  • 名刺、パンフレット
  • 雑誌、書籍
  • 商品パッケージ

印刷会社に入稿する場合は、CMYKで作成するのが基本です。

お客さん
お客さん

WebにもチラシにもPOPにも使う写真は、どうすればいいですか?

レタッチャー
レタッチャー

元データはRGBで保存しておき、印刷用には別途CMYKに変換したデータを用意するのがベストです。RGBが「原本」という考え方ですね。

CMYKに変換するときの注意点

変換前にプレビューを確認

Photoshopでは、実際に変換する前にCMYKでの見え方を確認できます。

メニュー表示色の校正 または Ctrl+Y(Cmd+Y)

これにより、変換後にどの程度色が変わるかを事前に把握できます。

変換後の色調補正

CMYKに変換した後、色がくすんでしまった場合は以下の調整が有効です。

  • トーンカーブでコントラストを上げる
  • 彩度を少し上げる(上げすぎ注意)
  • シアンを少し下げ、マゼンタを少し上げる(ピンク系の場合)
重要

CMYKへの変換は、作業の最終段階で行いましょう。編集途中で変換すると、その後の調整で色域外の色が使えなくなります。

レタッチ依頼時のポイント

クライアントに確認すべきこと

レタッチを依頼・受注する際は、以下を必ず確認しましょう。

  • 用途:Web用か印刷用か
  • カラーモード:RGB納品かCMYK納品か
  • カラープロファイル:sRGB、AdobeRGB、Japan Color 2001など

印刷入稿時の推奨設定

印刷会社への入稿データは、一般的に以下の設定が求められます。

項目 推奨設定
カラーモード CMYK
カラープロファイル Japan Color 2001 Coated
解像度 350dpi(原寸)
ファイル形式 PSD、TIFF、PDF

よくある質問

Q. RGBのまま入稿したらどうなる?

印刷会社側で自動的にCMYKに変換されます。ただし、意図しない色味になる可能性があるため、自分で変換して確認してから入稿するのがおすすめです。

Q. CMYKで作業した方が安全?

印刷物専用のデータであれば、最初からCMYKで作業するのも一つの方法です。ただし、Webにも使う可能性がある場合はRGBで作業し、最後にCMYK変換する方が汎用性が高くなります。

Q. AdobeRGBとsRGBの違いは?

AdobeRGBはsRGBより広い色域を持ちます。印刷用途が多い場合はAdobeRGBで作業し、Web用にはsRGBに変換するという使い分けも可能です。

まとめ

RGBとCMYKの違いを正しく理解することで、「印刷したら色が違う」というトラブルを防げます。

  • RGB:光の三原色、Web・モニター用
  • CMYK:インクの三原色+黒、印刷用
  • 色がくすむ理由:CMYKの色域はRGBの約65%
  • 対策:用途に合わせたカラーモードで作業し、変換は最終段階で

用途を明確にして、適切なカラーモードで作業することが、クオリティの高いレタッチの基本です。

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