「仕上がりがイメージと違った」
「修正を何度もお願いすることになった」
こんな経験はありませんか?
実は、外注レタッチのトラブルの8割は「指示書」が原因です。
この記事では、レタッチャーに伝わる指示書の書き方を、テンプレート付きで解説します。
なぜ指示書が重要なのか
「お任せ」は危険
プロに任せるんだから、細かく指示しなくてもいいんじゃないですか?
「お任せ」は一見ラクですが、レタッチャーによって仕上がりが全然違います。あなたの「ナチュラル」と、レタッチャーの「ナチュラル」は同じではありません。
曖昧な指示の例
❌ 悪い例:
- 「いい感じにしてください」
- 「ナチュラルに仕上げてください」
- 「肌を綺麗にしてください」
- 「明るくしてください」
これでは、レタッチャーは困ります。
指示書に書くべき5つの項目
1. 用途・媒体
写真をどこで使うかで、仕上げ方が変わります。
| 用途 | レタッチの方向性 |
|---|---|
| SNS投稿 | 派手め、目を引く |
| ウェブサイト | ナチュラル、清潔感 |
| 印刷物 | 高解像度、CMYKを意識 |
| ポートレート | 本人確認できる範囲で補正 |
2. 肌補正のレベル
これが最も齟齬が生まれやすい部分。
| レベル | 内容 |
|---|---|
| なし | 肌補正しない |
| 軽め | ニキビ・傷のみ除去 |
| ナチュラル | 毛穴を残しつつ、肌を整える |
| しっかり | 毛穴も目立たなくする |
| フル | 完璧な肌に仕上げる |
「ナチュラル」「しっかり」など、自分なりの基準を言葉で伝えるより、参考画像を1枚添付する方が確実です。
3. 色味・トーン
- 暖色系:オレンジ、黄色寄り(温かみ)
- 寒色系:青、シアン寄り(クール)
- ニュートラル:色被りなし
- 参考画像と同じ:画像を添付
4. やること・やらないことリスト
明確に伝える:
やること:
- 肌補正(ナチュラル)
- 背景のゴミ除去
- 明るさ調整
やらないこと:
- 体型補正
- 背景の差し替え
- 髪の毛の追加
5. 参考画像
参考画像は最強の指示書です。
良い参考画像の選び方:
- 仕上がりのイメージに近いもの
- 1〜3枚に絞る(多すぎると混乱)
- 「この写真のここを参考に」と具体的に伝える
指示書テンプレート
コピペして使ってください:
【案件名】〇〇様 ポートレート撮影
【用途】
- Webサイトのプロフィール写真
- SNS投稿用
【枚数】10枚
【納期】2025年12月20日
【肌補正】
- レベル:ナチュラル(毛穴は残す、ニキビ・傷は除去)
- 参考:添付画像A
【色味】
- 少し暖色寄り
- 参考:添付画像B
【やること】
- 肌補正
- 目の下のクマを軽減
- 背景のゴミ除去
- 全体の明るさ調整
【やらないこと】
- 体型補正
- 顔の輪郭変更
- 背景の差し替え
【納品形式】
- JPEG(sRGB、長辺3000px)
- 元のファイル名を維持
【参考画像】
- 画像A:肌の質感の参考
- 画像B:色味の参考
【その他】
- 不明点があればご連絡ください
NGな指示の例と改善方法
NG1:「いい感じに」
いい感じにお願いします!
(何が「いい感じ」なのか分からない…)
改善:
「添付した参考画像Aのような、ナチュラルで清潔感のある仕上がりでお願いします」
NG2:「肌を綺麗に」
改善:
「ニキビと傷を除去、毛穴は残してナチュラルに。目の下のクマは50%程度軽減」
NG3:「明るくして」
改善:
「全体を+0.5段程度明るく。白飛びしない範囲で」
NG4:参考画像が10枚以上
改善:
「参考画像は3枚に絞り、それぞれ何の参考かを明記」
初回依頼のコツ
初めての外注先には、テストレタッチをお願いしましょう。
1〜2枚をテストで依頼し、仕上がりを確認。イメージに合えば本発注、合わなければフィードバックして調整。これで大量発注後の「イメージと違う」を防げます。
修正依頼のコツ
修正をお願いする時も、具体的に:
❌ 「もう少しナチュラルに」
✅ 「肌の補正を50%程度弱めてください。特に頬の部分」
❌ 「色が違う」
✅ 「全体が青っぽいので、色温度を+500K程度上げてください」
まとめ
- 「お任せ」は危険、具体的に指示する
- 参考画像が最強の指示書
- 肌補正のレベルは言葉で定義する
- やること・やらないことを明確に
- 初回はテストレタッチから
指示書をしっかり書くことで、修正回数が減り、結果的に時間もコストも節約できます。